サンタクロースの贈り物～サタン・クロース！～｜リアクション

サンタクロースの贈り物～サタン・クロース！～

「絵奈殿、魔王様が食事をご所望ですぞ。準備の具合はどうですかな」
　サタンクロース城の執事が厨房に入ってくる。
「えぇ、もちろん既に出来上がっております」
　絵奈がテーブルに並べた料理を執事に見せるように、両手を広げる。
　ドードー鳥の香草焼き、気まぐれシェフの青菜サラダ、それにスノーエンジェルのミルクティー。
　一見少ないように見えるが、手間暇時間をかけた絵奈お手製の料理たちだ。
　朝食にはもってこいの軽さともいえる。
「おお、相変わらず見事な腕前ですな。魔王様もさぞお喜びになるでしょう」
　執事はうんうんと満足げに頷いて去ってゆく。
　サタンクロース城に潜入して、早数週間。
　メイドとして潜入したが、料理長が体調不良を起こした時に変わりに作った手料理が魔王に気に入られ、絵奈はサタンクロース城の料理長になっていた。
（前の料理長もいい人でしたから、少々、良心が咎めましたけれど、これもそれもみな、あのお方のためです）
　前任の料理長が体調不良を起こしたのは、当然のことながら絵奈が仕掛けたものだった。
　すべては、真の魔王たるあのお方のため。
　絵奈は良心の呵責をぐっとこらえ、偽の魔王たるサタンクロース城の主に朝食を届けに行くのだった。