合法的におっぱいを触れるお仕事がありました｜リアクション

合法的におっぱいを触れるお仕事がありました

　刀から色々と吸い取ろうと考えた夢魔たちは、いっせいに襲い掛かる。だが、刀は逃げなかった。確かに色々と思春期思考に行きかけたが。
「そりゃあっ！」
『きゃあ！』
　刀が渾身を込めて木刀をふるえば、襲い掛かってきた夢魔たちはちりぢりばらばらになって退散していく。牛乳である程度は満たされており、無理に襲う必要は無かったようだ。
『ま、当初の目的は果たされているわけだし、ここで貴方を倒してもね？』
　悔しげにそういう夢魔が、立ち去っていく。刀が「あっけなかった」と安堵していると、何処からともなく修の声がする。
「そんなに欲しいならこれでも食らえ！」
　ぶしゅ、と吹き付けられるのは牛乳。それをまともに食らったツインテールの夢魔は怯み、作業用の太い柄の箒でぐいぐいと押される。
『きゃああっ！　意外と激しいのね？』
　顔面が白いもので濡れ、頬を紅潮させる夢魔。その瞬間を見て刀は思わず「ここだけみたら誤解するよな」と真顔で思った。
『もぅ！　乱暴なのはゴメンだわ！』
　夢魔はツインテールを揺らして退散する。修は一仕事終えたとばかりにいい顔をして額の汗を拭った。刀が、大丈夫かと問いかければ頷いて答える。
「あれ～？　夢魔さんたちは帰っちゃったのかな？」
　そこへ下心がやってくる。彼は少し残念そうな顔をしており、気になった２人は理由を聞いてみる。すると、下心はちょっと悲しそうに、
「んー、『PEC』にスカウトしたんだけど、彼女達に断られちゃった。また会う機会があればまたスカウトしようと思うんだけどね」
「って桃色破廉恥小隊のことかーっ！」
　刀は思わず突っ込み、修はあいかわらずだなぁ、と肩を竦めた。
　と、ココで聞こえる悲鳴。３人はただならぬものを覚え走り出した。

（うわっ？！　これって色々ヤバイだろ？！）
　まもるは３人のポニテなサキュバスに囲まれて四苦八苦していた。サキュバスの1人には背後から抱きしめられ、のこり２人からかわいいかわいいと言われながら見つめられ、触れられて色んな意味でピンチである。
「ってにゃんこたーん？！」
「あ、おかまいなく～」
　頼みの綱であるタルトはなんか一生懸命メモしてスケッチしている。当てにならない。まもるはこのまま色々と吸われて【ら倫】の壁に消えるのか。それやると様々な意味でマズいのだが！？　あと文字数も押している！！

　だが、ここでまもるに幸運が訪れた。というのもスケッチに夢中になっていたタルトが、持っていた牛乳の瓶を倒してしまうのである。毀れる牛乳、濡れるタルトの足。夢魔たちがいっせいにそっちの方へ向く。
『あぁ、もったいないじゃない！』
「え？」
　まもるを抱きしめていた夢魔は牛乳を急いで手にする。と、他の夢魔たちもそっちへと向かう。
『独り占め禁止！！』
『お姉さまったら！』
『あっちにもまだあるわよ！！　そっちになさい！』
　夢魔たちは牛乳の取り合いを始めてしまった。タルトはとりあえず精神的な疲労でへろへろになったまもるを救出し、その場を離れる。
「にゃんこたん、サンクス！　助かった！」
「ごめんね？　いいところでー」
「いや、タイミング的によかった。いろんな意味で」
　まもるは、とりあえずマジ生還できた、と安堵から座り込むのだった。

　ややあって、魔法陣に飛び込んだ面々は幾つものコンテナを手に飛び去る夢魔の大群をみた。それを何となく見ていれば、いつのまにか三田さんが彼らを迎えに来てくれていた。
「夢魔との対峙はどうだったかい？　さ、牛乳鍋で疲れを癒してくれ」
　気がつけば、牧場に戻っており、きょとんとしていると、残ったメンバーが出迎えてくれた。
「おかえり！　無事でよかったよ！」
　羽生碧南がエプロン姿で出迎え、テーブルメイキングをしていたであろう尾鎌蛇那伊もにっこりと笑って夢魔対峙組を席に呼んだ。
「三田さんお手製の牛乳鍋よ。みんなで頂きましょ？」
「実にいい匂いです。食べないと損ですよ～」
　猫屋敷姫もいい笑顔で誘ってくる。いろんな意味で疲れていた面々はさっそくありつこう、と席に着いた。
　濃厚なミルクスープで煮込まれた肉や魚は絶品で、ついつい箸が進んでしまう。腹ペコ属性のある刀はスープをたんのうするとごはんのお代わり。それに恵御納夏朝がくすり、と笑ってしまう。
「気持ちわかるなぁ。僕もお代わりしようかな？」
　と、釣られてごはんのおかわりをすれば、三田さんは笑顔で応じてくれる。下心と修も絶品料理に顔がほころび、まもるとタルトも幸せそうに頷きあった。
「これを夢魔のみなさんと突付きたかった……」
「何故だ、微妙に笑えないというか……」
　修が苦笑していると、タルトがぽつり、と呟く。
「精一杯働いたあとのご飯って、なんかいいな」
「そうだね。命に感謝しながら食べないとなー」
　まもるがそう相槌を打ち、一同はしばしの間牧場の恵を楽しむのだった。

　――こうして、寝子島の平和は、色々な意味で守られた。
　　　私たちは、この１０人の奮闘を忘れてはならない。

（終）

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あとがき

担当マスター：菊華伴
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菊華です。
まず、最初に。ガイドへ出てくださった横嶋　下心さん、まことにありがとうございます。

『おっぱい』と来て『牛の乳絞り』という今回のシナリオになったのは菊華クオリティーです。
最初にこのお願いを見た際、速攻で「牛の乳絞りのアルバイト」というシナリオが脳内でくみあがりました。

　……そして、ど　う　し　て　こ　う　なっ　た。

もしかして：魔が差した。

　というわけで今回のシナリオと相成りました。
　乳絞り側に回った方が多かったのですが、工夫がされており見事ミッションクリアです。
　寝子島の平和は守られました。ついでにモラルも守られました。やったね。

　ですがまぁ、予想していた通り若干（？）カオス成分ありますね。いや、まだまだ甘いってお考えの方もいるでしょうけど。
　ともかくお疲れ様でした。また縁がありましたらよろしくお願いします。

ついしん。
皆様にお土産がありますよ。

三田さんより、絶品のチーズ（数種類）＋バターやミルクジャムなどが詰まったセットを。
そして夢魔退治（？）組には謎の小瓶（中身：入浴剤）が夢魔たちから送られております。

共通称号：夢魔には牛乳が効くらしい。

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シナリオ

シナリオデータ

シナリオスケジュール

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