テスト勉強だ！　助けて先生？｜リアクション

テスト勉強だ！　助けて先生？

「……うおっ？！　これは……」
　シンプルなシングルベッドに隠されていたのは、抱き枕だった。彼が知る由もないのだが、ちょっと昔の美少女ゲームに登場するヒロインの物だったりする。しかも服が肌蹴ていて微妙にえっちぃイラストだった。
（なかなか刺激が強いな……）
　と鼻血が出るかもしれないと顔を赤くしながら探検を続けるがその時、彼は何かを踏みつけた。
「いてっ？！」
　身を起こすと……それは袋に隠されていたであろうおっぱい型の枕っぽい何かであった。思わず「ぎょっ」となるものの……そっと袋に戻しておいた。
（何故だろう、凄く見てはいけないものを見たような気がした）
　どこか遠い目になる豪なのであったが、ここで我に帰る。
（はっ！？　　この先に何かすごい物がある、と俺の直感が告げている！　だが、そろそろ戻らねば！！）
　音も無くするっ、と元の場所に戻る豪。彼がいつの間にやら戻ってきている事に修たちが気付いたのは、台所から義弘と智瑜が台所から戻ったときだった。
「頑張っているようだな。昼食は……すまないが、簡単な物でいいか？」
「先生、俺も手伝います」
「いえ、私が……」
　修が立ち上がるも、智瑜がそれを止める。だが、キッチンに一度戻った義弘は済まなそうな顔をしていた。
「サラダ油を切らしていた。近くの店で買ってくるから、八神は宮祀と一緒にちょっと調理を手伝ってもらえないか？」
「はい」
　修は頷き、他のメンバーは一休みしておく事になった。

　昼食も済み再び勉強に戻るも、ここでもやはり刺激される冒険心。豪は勉強もそこそこにいつのまにか消えており、ちらりとその背中を見送った智瑜は妙に何かうずうずしてしまう。
（今は勉強しなくちゃ！　でもクローゼットとか見たいかも。ズボンがたくさんありそうです。それに先生の卒業アルバムとか、他にも気になるものが……）
　ころころと表情を変えて必死に堪える智瑜。そんな様子に修と美咲紀は不思議そうに首を傾げる。義弘もまた妙に気になったようだ。
「何か、気になることがあるのか？」
「い、いいえ！」
「集中力が散漫になっているぞ。少し休むか？」
　義弘の言葉で彼女は表情を引き締める。そうだ、今は勉強中だ。ここはぐっ、と堪えなくてはいけない。
　だが、少し疲れてきたので休ませてもらう事にし、近くにあったクッションを手に取ったものの……妙に形がおかしい気がした。
（？　これは何かしら……）
　普段ならやらないのだが、何故か智瑜は隙間から手を突っ込んでしまった。そして手にしたのは……おっぱいマウスパッドであった。
「トイレが判らなくて時間が……」
　とごまかしていた豪が部屋に入ってきたのはその時で、その場にいた者全員が凍りつく。妄想モードに入っていた碧南ですらコレには唖然となった。
（あの抱き枕のキャラクターと一緒じゃねえか！）
　豪は思わず口をあんぐりとあけて突っ込みたくなる衝動を抑える！
「こっ、これは……その……」
「手首の負担を軽減するために、俺が作ったんだ。パソコンを使うと、けっこう手首を傷めやすくてさ」
　慌てる先生が弁解するよりも早く、修がすらっ、と言い切った。しばらくの間誰も何も言わなかったものの、豪はすっごくいい眼差しで頷いた。
（大丈夫っですよ、先生。心の中にしまっておきますから、抱き枕とか！）
　実は２度目の探索できわどい衣装のフィギュアとか見つけてしまっていた。この後きっちりばれてて叱られ、「先生の趣味が気になりました」と正直に白状し「見た物は忘れるように」と言われてしまうのだが……。
（依葉先生……碧南はがんばりますっ！）
　そんな空気の中、碧南はぐっ、と手を握り締めて問題を解く。おっぱいマウスパッドの衝撃（？）も妄想でスルーしたらしい。

　なにはともあれ、おっぱいマウスパッドに全て持っていかれたような……一同であった。

　※なお、ちゃんと時間まで勉強はしています。

（桐嶋先生編　終）