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焚き火のある光景
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焚き火は盛大に炎をあげており、先の弥次喜多コンビに限らず、皆それぞれの活動にいそしんでいるようだ。
なので誉も自分の活動をまっとうすべく、こっそりと包みを開けた。
紙束だ。いずれもリングノートからちぎり取ったものである。薄桃色のファンシーな柄だった。
誰にも言ったことはないが、誉には夢がある。
それはジャズピアニストになって、自分の喫茶店を持つこと。
その夢を実現するため、こっそり考えているレシピをメモしたもの、それがこの紙の正体である。
柔らかな鉛筆書き、イラストもあしらっており、客観的に見てもずいぶんかわいいできばえであった。女子が書いたと言っても疑われない自信がある。
――はっきり言おう。黒歴史だ。
そのときは良かれと思ったことでも、後から頭を抱えることはある。まあ、よくあることだ。
といってもシュレッダーにかけるのは忍びなく、こうして焚き火の場に持参したというわけだ。
誉が軽く唾を飲み込み、火を見つめながらメモ束を取り出し、一枚をくしゃっと丸めたところで、
「市橋じゃねーか」
ひょっこり、その真横に立った小柄な姿があった。
詠 寛美
、誉とは因縁浅からぬ少女である。彼女は今日も、いささかくたびれてきた制服姿で、
「ゴミ焼きか?」
と言いながら炎に手をかざした。
コミュニケーションを避けがちな彼女が自分から話しかけてきたこと、まずはそれを喜ぶべきかもしれないが、誉としてはそれどころではない。
「こ、これは……その、なんだ。不要になったから、燃やそうと思ったんだ」
焦ったからか、つい誉は饒舌になってしまう。
「レシピは頭にもう入ってるし、パソコンにも打ち込んである。だから……」
「レシピ? ああ、料理メモな」
いつの間にか寛美は、黒猫のような目でうち一枚を読んでいる。えっ、と誉は慌てて手元を調べ、すでに何枚かが、炎にあおられふわふわと空に漂っているのに気付いた。驚いた拍子に手を離れたのだ。
「女が書いたのか? ふーん、隅に置けねぇな、市橋も」
「それはちが……! いや、そう、かもしれない。そうでないかもしれない……」
最後のほうは小声になっている。嘘は言っていない……ことになるはずだ(「かもしれない」なので)。
「なんのこっちゃ」
いずれにせよ寛美は気にしないようで、それ以上詮索しようとはせず、メモを丸めて火に投げ入れてくれた。残りのメモも火に包まれていた。
根掘り葉掘り尋ねられなくて良かったと誉は思う。そもそも寛美は性格からして、そういうことはまずしてこないだろう。
けれども詮索されなくて、なんだかちょっと、残念な気もするのだ。
仙藤紫の目の前で、ふわっと火の粉が舞い上がった。
赤い粒子は、またたいたかと思うやいな、消滅していく。
熱風で彼女の前髪もわずかになびいた。
「結構な勢いね……」
焚き火の暖かさというのは独特だ。近づくとちりちりと肌は熱いが、体全体はじんわりと火照ってくる。
先日、紫は部屋を整理して片っ端からゴミを分別して捨てた。でもこのときどうしても、捨てられずにいたものがあった。
唇の記憶が蘇る。寿命が尽きたように、短く燃え尽きた恋。
その終焉は唐突に訪れたのではなかった。深雪を踏みしめるようにして、一歩一歩近づいてきて、ゆっくりと崩れ落ちた。
恋の終わりをお互いに悟りだし、どのタイミングでそれを切りだすか迷っていたとき、このとき紫は、声に出しにくい想いを手紙にしたためた。
飾り気のない便せん、薄青いその紙に、黒いジェルインクのボールペンで綴った文字は全部で、原稿用紙四枚分程度だろうか、しっかりと書き始めた文字が、最後に署名する頃にはかすかながら震えていた。
これまでとこれから、それが1600文字程度で済んだのは、長いのだろうか短いのだろうか。
しかしその封が開けられることはなかったのである。
――結局、渡す機会もないままに別れ話になって、淡々と別れたけど。
咲き乱れるような恋愛ではなかったと、紫は思う。
淡々と付き合いだして、淡々と別れて、淡々と過去のものにするはずの思い出。でもまさか、こんなに引きずるなんて思わなかった。今頃になって恋、というより誰かを好きになるということがこんなに重くて、好きな人と別れることがこんなに辛いことだと知るなんて……思わなかった。
紫は自分の手元に視線を落とした。
封をしたままの手紙がある。
見つめているうち封筒がぼやけた。ただしくは封筒ではなく、彼女の視界そのものが。
目を指で拭ったあと、おもむろに紫はこれを焚火へ放り込んだ。
火の勢いは強い。たちまち封筒は赤い舌に呑まれ、黒い炭へと変わっていった。
数十秒、いや、もっと短かったかもしれない。こうして封筒は、開かれることなく消滅したのである。
――これで、本当に終わったんだ。
さようなら、そう心で告げる。
ふと紫は、独りでいる我が身を自覚した。
焚き火が消えるところまで見ている気にはなれなかった。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
恋愛
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年10月19日
参加申し込みの期限
2015年10月26日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年10月26日 11時00分
参加キャラクター一覧
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