「喜多川っち、聞いてる?」
「聞いてない」
「すべて燃やし尽くして灰にしてしまいたいときって、あるよね……」
「いきなり物騒なこと言うな」
「へへー、やっぱ聞いてんじゃん」
「やかましいわ」
と珍問答を繰り広げている二人は寝子島高校生、ともに一年生の弥島 純子と喜多川 怜子なのである。午後の校庭、今日も今日とて掃き掃除なんかしていたりする。風はこのところぐっと冬味を増し、なんだか白くなってきたような気がした。それを言うなら落ち葉が増えた地面は薄茶色で、空は果てしなく透明な青。空気はとても乾いている。
「燃やしたいんだよねえ。前のテストの結果とか、こないだ部屋を整理していたら出てきた自作のポエムとか未来日記とか」
ああなるほど、と言うような視線を、怜子は縁なし眼鏡の奥からのぞかせた。
「要はお前さん、痛い記憶をその物理的証拠とともに燃やし尽くしたいというわけだ」
「ありていに言やあそういうことになるさね」
「だが、それは焼く理由の説明にはなるまい」
「どういうことさ?」
「シュレッダーにかけりゃいいだろ」
すぱん。日本刀で唐竹割を繰り出すような怜子の言い切りに、純子は瞬時口ごもったがすぐに、
「わかってない! 喜多川っちはわかってない! ロマンチックあげられない! 痛い記憶でも記憶は記憶なんだ。あたしは機械で『消去』したいんんじゃなくて、えーっと、なんていうかなあ、熱い炎で天に還すとかそういうね、叙情的な……ああなんか、言ってる自分でもわからなくなってきたんだけどさぁ……」
と身振り手振りを交え、情熱的に語ったのである。終盤、ちょっと尻すぼみではあったが。
「別にロマンチックなぞいらんが」
怜子はやっぱり冷静だった。しかし、
「まあ、言いたいことはわからんでもない」
こう言い残すとスタスタと歩き出したのだった。向かうのは校舎だ。
「どこ行くの?」
「職員室。焚き火の許可を取るべきだろう? 黙って火なんか出した日にゃ通報されかねん」
キャー、と喜色満面になって純子は怜子の背を追う。
「さっすが喜多川っち! いなせだねえ。惚れ惚れするよ。あたし、喜多川っちならロマンチックあげてもいいよ!」
「また意味のわからんことを。さっさと行くぞ」
ところがこの焚き火の願い出が、せっかくだからもっと大々的にやろうよと、話が大きくなったのは寝子島高校らしいところであった。休日に校庭で、キャンプファイヤーならぬ大焚き火大会(『大』の文字が重複しているところは気にしないでおきたい)へと発展したのだ。
もちろん一般参加もOK、そろそろ冬支度、思い出燃やし支度の季節、有毒ガスがリリースされるようなものでなければ、どんどん火にくべて暖まろう!
ファイヤー、ファイヤー。
マスターの桂木京介です。お世話になっております。
こんなお話です
こちら、火炎系、あったまり系、焼き芋系のシナリオとなっております……うん、なんだそれは。
寝子島高校の校庭で、キャンプファイヤーならぬ大焚き火大会に参加しましょう。
寝子高を解放してのイベントですので、誰でも参加可能です。
もうお別れしたい思い出の手紙や日記を焼き、新たな船出とするもよし、逆に恋人と参加して、心と体をともに暖めるもよし、炎を使ったパフォーマンスに挑戦してもよいでしょう。(ただし、危険なパフォーマンスは学校側に制限されると思います)
焼き芋をガンガン焼くのもウェルカムです。ただ、芋は各人ご持参くださいませ。
時間やコンディションについて
冬差し迫るある日曜日、午後12時から開催となっております。暗くなる前には終了しますので、実質夕方5時前には終了となるとお考え下さい。
当日の天気予報は曇りですが、雨が降る気配はなさそうです。
NPCについて
寝子島高校に籍を置いているNPCなら、生徒、教師を問わず誰でも登場できます。
といっても、一日べったりとともにすごすのは難しいでしょう。彼らもそれぞれの事情があり、予定や他の約束があったりしますので。(たとえば教師のキャラクターなら、「テストの採点があって……」などと言いながら途中退場したりします)
ただし、以下のNPCについては特に予定がないので(ぶっちゃけて言えば暇なので)、べったり付き合うことも可能です。
串田 美弥子、南波 太陽、鷹取 洋二、剣崎 エレナ。
未登録NPCですが、ガイド部で登場している弥島 純子と喜多川 怜子(1年2組の生徒)もべったり扱いで登場できます。
あと、寝子高生徒ではありませんが青木 慎之介も小学生時代に描いた格闘漫画(厳しい内容)を焼きに来ています。
NPC関連のご注意
相手があることゆえ必ず希望通りの展開になるとは限りません。ご了承下さい。
NPCと行動を絡めたいかたはそのNPCとはどんな関係なのか(まったくの初対面なのか知り合い程度なのか友人なのか等)を必ずご記入ください。よろしくお願い申し上げます。
文字数に余裕があればこれまでの経緯等も書いておいて下さると大変助かります。
それでは、あなたのご参加を心から楽しみにお待ちしております!
桂木京介でした。