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- 学年：職業
- 00月00日生 00歳
- AAA000000
【お三夜】ある猫の夢
（おおー）
夕日が落ちる。太陽が輝きながら、海に溶けていくのだ。
「おはようございます」
猫の姿でそう言ったつもりだったが、口から出たのは猫の声ではなかった。
姫は人間の姿だった。夕日は沈み始めたばかり。夕日が完全に沈んでしまえば、猫たちはもといた場所へ戻るはずだ。それまでに、どうにか夕飯を準備しないといけない。
「気分が良いので、今日はちょっとお高いカリカリにするです」
幸せな気持ちになりながら、夕日にしばし見惚れて。
そこで、綾花は目が覚めた。自分がいる場所が星ヶ丘であること、側に猫たちがいること、夕日が沈んでいく様子が見えること。夢の中と同じだ。それから、猫のときに登っていた塀に手を伸ばして、触れて。触れたもの、いる場所、全て感覚が合う。猫の夢だと思っていたのは現実だったと気付いた。
（もう少しにゃんこの姿のままでもよかったかな）
八神 修は、ベンガル猫になっていた。毛色はシルバー・タビー。存在感のある、スラリとした猫である。尻尾を高く立てて、機嫌よく修は巡回していた。巡回の目的はただ見回りをするだけではない。誰か、困っている猫がいれば助けるためだ。
人間に構われるのは、積極的には好まない。猫には撫でても良い場所、良くない場所がある。撫でて良くない場所を触られたくないのは誰だって同じなはずだ。
（撫でて良い場所くらい調べて出直して来い）
けれど、気位の高いベンガル猫の修は、決して鬼ではない。礼儀正しい相手であれば、触らせないということもないのだ。伸ばされた手に前足でタッチして、少し鳴いて首を傾げる。
（少しなら撫でさせてやる）
好きなところを撫でられるのは、気持ちがいいのだ。
貰う餌は、高級缶が良い。修の気位の高さを察して相応のものを出してもらえたならば、少し齧る程度に口にする。けれどずっと餌を貰いっぱなしではなくて、気まぐれなようにフイっと立ち去るのだ。
（俺は忙しいのさ）
猫は移り気だと言わんばかりの態度である。
みぃぃ、と鳴く小さな声を修の耳が拾った。木の上で、小さな三毛猫の子猫が鳴いている。その子猫の怯える視線の先には、カラスがいた。
修はためらいなく木を登り、子猫の前に出てカラスに飛び掛かった。爪はカラスを仕留めることはできなかったが、追い払うことはできたようだ。
カラスに飛び掛かった際に修は地面に着地したのだが、なぜか木の上から子猫が降りてこなかった。カラスはもういないのに、降りてこないということは、登ったもののうまく降りられなくなったのだろう。子猫だと木の上から降りるのはかなり勇気がいることに違いない。
修はもう一度登って子猫の首をそっと噛んでぶら下げて降りた。カラスから助けたからだろうか、子猫は大人しくしている。ようやく地面に足がついて安心したのだろう、子猫は初めて少し明るく鳴いた。まるでお礼を言われたように感じて、修も鳴き返す。
（弱者を助けるのは当然のことだよ）
子猫と別れて、修は寝子島神社に足を踏み入れた。そこには哀愁漂う背中の黒猫がいた。
猫の挨拶を交わすと、修は前足を黒猫に見せた。黒猫は驚いたように一時動きを止める。それからおずおずと、差し出された修の前足に、自分の前足を重ねた。人間で言うところの握手である。
今は午後の一番暖かい時間帯。これは一番日当たりの良い場所で日向ぼっこをするに限る。修は周囲を見て、日向ぼっこするのに最適な場所を探した。ほどなくして見つかったそこには、前足をタッチした黒猫とは違う黒猫が丸まっている。既に眠っているようだ。
修は哀愁漂う背中の黒猫を呼んで、先にいた黒猫の近くに一緒に丸まった。精力的に活動して、ちょっと疲れたようだ。日差しに包まれて、すぐに眠りの世界へ引き込まれた。
目が覚めた。眠くなる前にいたのは星ヶ丘だったのに、修が今いるのは寝子島神社である。同じく、今まさに目が覚めたというように、すぐ近くで手繋大志と御剣刀が欠伸していた。
「黒猫は手繋先輩だったんですね。それに、御剣もいたのか」
「八神と御剣？ 確かに黒猫の夢を見てたな。最初、背中にタッチしてくれた黒猫がいた。それから時間が経ってから、近くに別の黒猫がやってきて、三毛猫の子猫が来て、最後にベンガル猫と一緒に日向ぼっこして……」
夕日が落ちる。太陽が輝きながら、海に溶けていくのだ。
「おはようございます」
猫の姿でそう言ったつもりだったが、口から出たのは猫の声ではなかった。
姫は人間の姿だった。夕日は沈み始めたばかり。夕日が完全に沈んでしまえば、猫たちはもといた場所へ戻るはずだ。それまでに、どうにか夕飯を準備しないといけない。
「気分が良いので、今日はちょっとお高いカリカリにするです」
幸せな気持ちになりながら、夕日にしばし見惚れて。
そこで、綾花は目が覚めた。自分がいる場所が星ヶ丘であること、側に猫たちがいること、夕日が沈んでいく様子が見えること。夢の中と同じだ。それから、猫のときに登っていた塀に手を伸ばして、触れて。触れたもの、いる場所、全て感覚が合う。猫の夢だと思っていたのは現実だったと気付いた。
（もう少しにゃんこの姿のままでもよかったかな）
八神 修は、ベンガル猫になっていた。毛色はシルバー・タビー。存在感のある、スラリとした猫である。尻尾を高く立てて、機嫌よく修は巡回していた。巡回の目的はただ見回りをするだけではない。誰か、困っている猫がいれば助けるためだ。
人間に構われるのは、積極的には好まない。猫には撫でても良い場所、良くない場所がある。撫でて良くない場所を触られたくないのは誰だって同じなはずだ。
（撫でて良い場所くらい調べて出直して来い）
けれど、気位の高いベンガル猫の修は、決して鬼ではない。礼儀正しい相手であれば、触らせないということもないのだ。伸ばされた手に前足でタッチして、少し鳴いて首を傾げる。
（少しなら撫でさせてやる）
好きなところを撫でられるのは、気持ちがいいのだ。
貰う餌は、高級缶が良い。修の気位の高さを察して相応のものを出してもらえたならば、少し齧る程度に口にする。けれどずっと餌を貰いっぱなしではなくて、気まぐれなようにフイっと立ち去るのだ。
（俺は忙しいのさ）
猫は移り気だと言わんばかりの態度である。
みぃぃ、と鳴く小さな声を修の耳が拾った。木の上で、小さな三毛猫の子猫が鳴いている。その子猫の怯える視線の先には、カラスがいた。
修はためらいなく木を登り、子猫の前に出てカラスに飛び掛かった。爪はカラスを仕留めることはできなかったが、追い払うことはできたようだ。
カラスに飛び掛かった際に修は地面に着地したのだが、なぜか木の上から子猫が降りてこなかった。カラスはもういないのに、降りてこないということは、登ったもののうまく降りられなくなったのだろう。子猫だと木の上から降りるのはかなり勇気がいることに違いない。
修はもう一度登って子猫の首をそっと噛んでぶら下げて降りた。カラスから助けたからだろうか、子猫は大人しくしている。ようやく地面に足がついて安心したのだろう、子猫は初めて少し明るく鳴いた。まるでお礼を言われたように感じて、修も鳴き返す。
（弱者を助けるのは当然のことだよ）
子猫と別れて、修は寝子島神社に足を踏み入れた。そこには哀愁漂う背中の黒猫がいた。
猫の挨拶を交わすと、修は前足を黒猫に見せた。黒猫は驚いたように一時動きを止める。それからおずおずと、差し出された修の前足に、自分の前足を重ねた。人間で言うところの握手である。
今は午後の一番暖かい時間帯。これは一番日当たりの良い場所で日向ぼっこをするに限る。修は周囲を見て、日向ぼっこするのに最適な場所を探した。ほどなくして見つかったそこには、前足をタッチした黒猫とは違う黒猫が丸まっている。既に眠っているようだ。
修は哀愁漂う背中の黒猫を呼んで、先にいた黒猫の近くに一緒に丸まった。精力的に活動して、ちょっと疲れたようだ。日差しに包まれて、すぐに眠りの世界へ引き込まれた。
目が覚めた。眠くなる前にいたのは星ヶ丘だったのに、修が今いるのは寝子島神社である。同じく、今まさに目が覚めたというように、すぐ近くで手繋大志と御剣刀が欠伸していた。
「黒猫は手繋先輩だったんですね。それに、御剣もいたのか」
「八神と御剣？ 確かに黒猫の夢を見てたな。最初、背中にタッチしてくれた黒猫がいた。それから時間が経ってから、近くに別の黒猫がやってきて、三毛猫の子猫が来て、最後にベンガル猫と一緒に日向ぼっこして……」
あとがき
担当マスター：
鳴葉ゆらゆ
ファンレターはマスターページから！
シナリオにご参加いただき、ありがとうございました。
鳴葉ゆらゆです。
猫になってのんびりと過ごせましたでしょうか。
楽しんでいただければ幸いです。
また機会がありましたら、よろしくお願いいたします。
鳴葉ゆらゆです。
猫になってのんびりと過ごせましたでしょうか。
楽しんでいただければ幸いです。
また機会がありましたら、よろしくお願いいたします。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
-
- 2015年10月15日
- 参加申し込みの期限
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- 2015年10月22日 11時00分
- アクション投稿の期限
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- 2015年10月22日 11時00分
