【生徒会総会】クラブ対抗！部費争奪戦ｂｙコメディエアー｜リアクション

【生徒会総会】クラブ対抗！部費争奪戦ｂｙコメディエアー

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「あーっはっはっは！」
　高笑いとともに、手斧（フランシスカ）をギュンギュン抛る圭花。
　唸りを上げ、空中で屈曲する、恐怖のスカイランデブー。
　廊下はすっかり惨劇の現場と化していた。

　水泳部三人は、走っていた。
　大技を使って以降、あまり強烈な相手とは出会っていなかった。
　風船を３個ロストしているものの、まだ生き延びる機会はある。

　正門をくぐって、再び校庭へ。
　
　彼方から迅速に夕闇が押し寄せてくる。
　だがこの寝子高の上だけは、コメディエアーの影響か、黒雲が渦巻き、雷鳴がひらめく。
　獣のような生臭い気配が高まる。

　あきらめない。
　三人は走る。
　最後の瞬間まで、決してあきらめない……。

　ガサリと叢が鳴った。
　フラッシュを背にして、エアガンを構えるのは、種田凜乃。
　他の射撃部の二人とは違った、男子の通りにくいルートを狙ったのだ。

　素早く修とねむるに入電。
　同時に、ゴーグルを片手で回して、急接近。
　走りながらライフルを速射。
　マズルフラッシュが闇を照らすが、しょせんは銃。
　全弾打ち尽くし、空のマガジンを地面に落とす。
　それが本体。恐ろしい速度でマガジンは唸り、風船を追撃する！

　はっしとビート板で撃ち落とすのは、仙藤紫。
　凜乃と紫、互いに跳躍。両者の手には、ゴーグル。
　ぶつかり合う、眼鏡と眼鏡。
　互いに世界の半分を砕き割る。
　射撃部のたっての願いで戦う凜乃。
　水泳部のために、参加する紫。
　立場の似通った二人の女性。烈しい打ち合いを展開する。

（ここだ！）
　荒太郎と勘助、戦闘空間からの離脱を決意。
　無闇に逃げるのは危険。だが、自分たちには、あきらめない理由がある。

　ダッシュを仕掛けようとしたふたりに、樹上から落ちてきた影が立ちふさがる。
　日暮　ねむる。

　――極力、バトルは避けるべきだが……。
　傍らから現れる、迷彩服姿の修。

　恐怖、逡巡は一瞬。荒太郎、勘助は向き直る。
　此処を逃れて、チャンスはない！
　
　猛り狂ったラッシュを見せるねむるに、防御を徹底させる勘助。
　ホースを取り出し、水道のつながらぬままに、水を迸らせる。
「そっち……じゃなくて、右、です、よ……」
　視界をくらませられるねむる。
　幻影が揺らぐ。
　フォローに入る修、予め遮蔽物に使用できそうなオブジェクトを選択。ランダム性のある動きで、飛び降り、走る。
　人型的を翳し、万全の防御で、勘助に接近。

「ゴーグルあるから、目元もしっかりガード！」
　幻影の力を封殺し、デッキブラシで土煙を巻き上げ突進する荒太郎。
　修に肉薄。修はエアガンをぶっぱなし、そのままゴーグルを放る。
　銃弾ではピクリともしなかった水の幕が、ゴーグルで突き破られる。
「初手は、フェイクだよ」　
　射撃手袋を投げつけつつ、修は自分の言葉に引っかかる。

　荒太郎は、勘助と目を合わせる。

　水泳ならば、メドレー。
　最後の一人に、すべてを託す。
　
　一瞬、水流が弱まったかと思うと、勘助、戦線より離脱！
　
　させてはならない！
　修の中で、何かが激しく警鐘を鳴らした！
　
　……！

　走り抜ける勘助の背後で、風船の割れる音が、ひとつ、ふたつ、みっつ。
　一つはおそらく、射撃部。
　あとは、おそらく……自分たち。

　ここに至って、勘助は無心。
　自分の全てで、走る、ただ走る。

　全力の、修の銃の投擲が、サイドワインダーのように唸るのを、勘助は聞いた。
　なぜかそれが、自分の風船を割るのを、はっきり確信した。
　エヴァの目が、ひどく優しく自分を見ていた。

　その時、動画で様子を確認していた志波武道、満足げに頷く。
　彼らはよくやった。褒められるべきだ。

　彼は笑った。
　ここまでできたのだ。水泳部は、ここまで頑張ったのだ。
　悔いはない。

　自分の風船が割れるのを、ひどくゆっくり彼は聞いた。