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6、星ヶ丘にて(富める者たち)
チンドン屋の一行は、シーサイドタウンを抜けた。
彼らにあまり似つかわしいとはいえない、寝子島南西の一角に入っていく。
瀟洒できらびやか。清潔で品の良い人々が往来を闊歩していた。
絵に描いたような筋金入りのお嬢様、
久良木 優菜
もこの地区に居住している。
時代遅れの楽団の、小さな旅が終わる土地。
星ヶ丘へ。
私はその日、星ヶ丘の寮の部屋に一人で居ました。
寮といっても、一人に一棟ずつ建物が当てられておりますので桜花寮、とか猫鳴館……とかああいった場所とは、だいぶ趣が異なります。
秋の末の、澄み渡る大気が身に沁みてきました。
「肌寒い……窓を閉めましょうか」
誰に言うともなく、私は呟き窓に近づきます。
もう、日が照っていても窓を開けていると寒い時期ですね。
「あら……?」
涼やかな風に乗って、なにやらかしましい音楽が聞こえてきました。
「何だか、楽しそう」
遠い遠いかすかな音で聞き取りにくいけど、愉快な気持ちになるメロディーです。
「ユウナ、楽しい音なのはわかるけど、早く窓を閉めたほうがいいんじゃないかな」
? 誰でしょう?
私は振りかえりました。
「風邪ひいちゃうよ」
ジャック! 黒うさぎのぬいぐるみ、ジャックがしゃべってます!
「ジャック! いつ人間の言葉をしゃべれるようになったんです?!」
ジャックもびっくりしてるみたいです。
僕の言葉がわかるの? って……。
じゃあ、今までも話してたのに私がわからなかっただけ、なのでしょうか? 不思議です。
「わわわ、ユウナとお話できる。夢みたい。嬉しいよ」
「私も嬉しいです!」
思わず抱きついて、くるくる回っちゃいます。
姿見があるのも忘れて、最後にえいっ、って小さく飛んだのがいけなかったみたいです……。
ろっこん、『White bunny』の力で、私、白うさぎに変身してしまいました!
目の前には、ジャックの大きな顔。
私がうさぎになって小さくなってるから、目線も同じ。
しばらくすると、元に戻りました。
「大きくなったね」
ジャックは、あらためて人間の私に言います。
「ふふふ、どういう意味です?」
ちょっと意地悪な言い方だったでしょうか?
私にはジャックが『成長したね』っていう意味で言ってくれたということは、本当はちゃんとわかってるんですから。
だって、ジャックは私の唯一の親友で、『王子様』だったんですもの。
「ねぇねぇ、ユウナってさ、寝子島にきて外に出るようになってから変わったよね?」
「……そう、でしょうか?」
ジャックったら変なことを言いますね。
私は私なのに。
「だってさ、僕を抱いて寝ることも少なくなったし、お出かけの時も僕を置いていくようになったよね」
そう言ったあと、“独り立ちってことかな”と、ジャックは付け足しました。
あ……そういえば……!
「ごめんなさい。寂しかったですよね……。寝子島に来てから、面白いことがいっぱいあって」
忘れていたわけでは、決してないんですけど……。
「違う違う」
ジャックは、笑って言いました。
「僕は、ユウナを咎めてるんじゃないよ。それが大人になるってことなんじゃないかな?」
「そう、ですか?」
私は、恐る恐る聞き返しました。
「うん、僕はユウナのお父上に『ユウナを守ってくれ』って、昔言われたんだ。だから、ユウナが僕を必要としないくらい成長してくれたら……僕は本当に嬉しいよ」
ジャックは、お父様から誕生日プレゼントとしてもらったぬいぐるみ。
人間だったら、きっと王子様みたいな性格なのかな? なんて思ってたけど……。
本当に、私の王子様だったんですね!
「ジャック、ありがとうっ!」
私は、思わずジャックに抱きつきました。
「大人になっても、時々は抱きしめてもいいんでしょう?」
ジャックは、まあね、と曖昧に言うばかりで、ストレートに“もちろんだよ”とは言ってくれません。
そっか。そういうことなんですね。
気づかないうちに、ぬいぐるみ離れ……してしまいました。
その部屋は昼なお暗く、ベッドに横たわる主人を闇で包んでいた。
カーテンの隙間から洩れる糸のような細い光も、僅かに室内の真中辺りを照らすのみ。
豪壮な邸宅の、虚ろな暗闇の中で
朝鳥 さゆる
は眠り続ける。
……重い頭を持ち上げて、首を回す。
窓から差し込む光の筋の中に、室内の埃が舞っているのが見えた。
まだ、昼間。
「こんな時間に、起きる気はなかったのに」
あたしはゆっくりベッドの上に身を起こす。
夢など見たくないあたしは、薬に頼り星ヶ丘の自宅で泥のように眠っていた。泥のような日常。
何か大事なものが壊れてしまっている私でも、長い夜の孤独は耐えがたかった。
だから夜は、快楽の時間と決めていたのだ。相手など誰でも良い。
ただ昨夜は、そんな気分になれなかったのである。
あたしは判断を間違った。
どこからともなくチンドン屋の音色が聞こえてくる。
「これのせいで、目が覚めたのね」
閑静な星ヶ丘の高級住宅街には、似つかわしくない鳴り物を賑やかに響かせて……。
「お母さん」
あたしを呼ぶ声がする。そんな者がいるはずないのに。
ぼんやりした視線を声の方向へ向けると、そこには以前作ったまま放置したぬいぐるみが転がっていた。
「ねえ、お母さん」
ぬいぐるみが、あたしに話しかけてくる。
狂ったあたしの心が作った、幻の声だろうか。……どうでもいいことだけど。
「お母さんは、どうしてあまりおうちに帰ってこないの?」
あたしは黙ったまま。だって、答える必要がない。
「昨日の晩は帰ってきてくれたけど、ぼくはこうやって部屋のすみっこに転がされたままで……寂しいよ」
……あたしは答えない。キリキリした妙な痛みが、あたしの内蔵を締めつける。
「ぼくも寂しいけど、お母さんも寂しそうだね」
やめろ、やめろ、しゃべるな。やめて。それ以上しゃべるな。
あたしは、イカれた自分の頭に必死で命令する。
「お母さん、このままじゃダメだよ。自分でもわかってるんでしょう? ぼくは、少しでもお母さんの力になりたいんだ。だって、せっかくぼくを作ってこの世に送り出してくれたんだもの」
聞きたくない、聞きたくない。
いっそ完全に壊れてしまえ、あたしの脳みそ。
「ぼく、お母さんのために何かしたいよ。だって、このままじゃぼく、役立たずのポンコツだもの。ここに転がってるだけなら、この世に居る意味がないよ」
緊張の糸が切れた。
幻だ、幻なんだ。現実じゃない。
……でも、それに乗ってみるのも悪くない。
どうせあたしは、まともじゃないんだから。
いいわけのように心の中で独白を続けながら、あたしはぬいぐるみをそっと抱き寄せる。
「役立たずはあたし。ポンコツもあたし。この世に居る意味がないのもあたしよ。あなたじゃない。あなたは壊れていない」
本当に子供に言い聞かせるように、ゆっくり、言葉を区切りながらぬいぐるみに言い聞かせた。
「ごめんね……あたしはもう、元に戻せないほど壊れてるの。あたし自身がそうせずにはいられなかったの」
ぬいぐるみを抱く腕に、さりげなく力を込める。
そういえば三年前に両親が死んで以来、この家で自分以外の誰かと話したのは初めてね。
そんなことを考えている間に、ぬいぐるみの声は聞こえなくなった。
再び一人になった部屋では、一際静寂や漆黒の闇が身体に浸透してくる。
うららかな晩秋の、けだるい午後のことだった。
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担当ゲームマスター
八花月
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
日常
SF・ファンタジー
定員
15人
参加キャラクター数
11人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年09月12日
参加申し込みの期限
2015年09月19日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年09月19日 11時00分
参加キャラクター一覧
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