恐竜と遊ぼう！｜リアクション

恐竜と遊ぼう！

☆ヴェロキラプトル？
　
「ダイノサウラー、やっぱ、すごいや！」
　飼い猫のにゃーくんと共に恐竜を見に来た桜庭円が歓声を上げる。
「にゃー」
　にゃーくんも目新しい恐竜に興味津々のようだ。
「凄いわね、これ、動くわよ。さすが日本のロボット技術はたいしたものね」
　ブリジット・アーチャーも、円に誘われて一緒に恐竜を見に来ていた。
「みゃー」
　にゃーくんが見上げて鳴く方向をふと円が見上げる。
「ってテオだ！　どうしたの？」
「ふん、恐竜が動き出しやがった」
　テオが不機嫌そうに事情を話した。
「へー、神魂で。でも皆いい子っぽいよね！」
「……ロボット技術じゃなかったのね」
　恐竜たちはたいてい大人しく、改めて周りを見回しても騒動が起きている様子はない。
「そうだ、テオも後で一緒にご飯食べる？　美味しい缶詰、有るから気が向いたらおいでよ」
　円の誘いに、テオはぷい、とそっぽを向いた。

　円はブリジットのほうに向きなおった。　
「ほら、昔っから恐竜映画やってるけど、毎度いい仕事してるのがヴェロキラプトル。
序盤の追跡者、乗り越えるべき壁、最新作では人間との友情まで育んでた！」
「私もアメリカのグランパと一緒に小さい頃恐竜映画見たことあるわ」
　ブリジットは頷くが、
「ヴェロキラプトル？　んー、知らないわね。私はヴェロシラプター（velociraptor）が一番だと想うわ。そんな大きくはないけど、素早くてなんかずいぶん頭がいい感じで。敵に回すとティラノサウルスより、厄介そうだったわ」
「へー、バロシラプターかぁ、強そう！　居るといいねぇ」
　歩きながら辺りを見回していた円が嬉しそうな声を上げた。
「いたいた、かっこいい！　やっぱりラプトルはかっこいいね！」
「あれがヴェロキラプトル？　あれ、ヴェロシラプターじゃない？」
　円の視線の先には二頭の尾の長い小型恐竜。
　それを不審げに見たブリジットは、説明板を見て声を上げる。
「……って、なんだ、結局発音が違うだけで同じ恐竜だったのね」
　その間に円は恐竜に近づいていた。
「こんにちはー。あれ、言葉が解ってる予感！」
　恐竜は賢そうな眼差しで円のほうを見て、頷いたのだった。
「……背中に乗ってみてもいい？　丁度良さげだし乗り心地よさそう！」
　すると、恐竜たちは乗りやすいように屈んでくれたではないか。
　ブリジットは驚く。
「乗れるの？　私、乗馬なら得意だけど、恐竜は初めてよ」
「いいの？」
　円はにゃーくんを肩に乗せたまま小型恐竜の背中に乗った。
　ブリジットももう一頭に跨る。
「後でお礼にビーフジャーキーを上げるわ」
　ひょいとにゃーくんが恐竜の頭に飛び移った。
「にゃーくんはラプトルの頭の上がいいの？　ラプトルくんごめんね？　大丈夫？」
　円が恐竜を撫でながら話しかけると、大丈夫、と言っているような気がした。
「わぁ、素直なラプトルくんは可愛いなぁ。テオも乗ってみるー？　楽しいよ！」
　だがテオの姿は消えていた。
　代わりに、大きな人形を持った友人を発見する。

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