恐竜と遊ぼう！｜リアクション

恐竜と遊ぼう！

☆きょうりゅうのこどもたち

　海美は、材料を探してあちこち歩き回っていた。
「わたしはざっ草はたべれないから、すのざいりょうさがし手つだうだけ！」
　よくわからないけど、草とか、鳥型の恐竜が落としたらしい羽毛を集めてみる。
　途中で、少しお兄さんな小学生が地面を掘っているのを見つけた。
　右目は前髪で隠れているけど、なんだか思いつめたような顔をしていて、気になった。
「ねえ、なにしてるの？」
　尋ねられた宮越裕司はぎょっとしたようだが、相手が自分より小さい女の子だとわかって少し安心したようだ。
「一か八かだけど……恐竜をおどかして逃がそうと思って」
「えっ？！」
　裕司の手には自作の猫の人形があった。
「ぼくのろっこん、手づくりの人形を地面に埋めると、巨大化するんだ……びっくりして逃げてくれたらいいけど……」
「だ、だめでしょ！　きょうりゅうより先にひとがびっくりしちゃうよ。きょうりゅうてんだから、きょうりゅうはいてもおかしくないけど……」
　慌てて海美が止める。
「そうか……」
　がっかりしたような裕司に、海美は元気付けるように言う。
「きょうりゅうって大きくてこわいんだとおもってたけど、このきょうりゅうは大じょぶみたいだよ！」
「……うん、なんか、変だと思ってた。思ったよりもしかしたら大人しいのかな？　って。……襲ってこないのなら、近くでよく見たい」
「それがいいよ！　きょうりゅうのあかちゃんとか、かわいいよ」
　海美の言葉に頷き、人形をしまった裕司は恐る恐る恐竜に近づいてみた。
「……お父さんがいたら凄く楽しんでただろうなぁ……」
　あんなに大きいのに、恐竜は優しそうな目をしていた。
　
「はい、すのざいりょうにつかってね！」
　海美が巣の材料を渡すと、マイアサウラは嬉しそうに頭を下げたように見えた。
　他にも手伝えることはないか、と海美は子供たちを見る。
「子どもがなんかすなとかでよごれてるから、きれいにしてあげよう！」
　砂の上を転がりまわっているので、子供たちは綺麗とはいえなかった。
「こわくないから大じょぶ。ほら、タオルきもちいでしょ？」
　バッグからタオルを取り出し、優しく子供たちを拭いてあげる。
　くすぐったそうな様子だが、海美が気に入ったのかマイアサウラの子供たちが擦り寄ってきた。
「よしよし、あそんであげるね！」
　お姉さんになった気分で、海美は楽しい時を過ごした。

「海美～！　そろそろ行くわよ」
　離れたところで、お母さんが手を振っているのが見えた。
「おとうさんとおかあさんがよんでる！　そろそろわたしいかないと！」
　海美がそう言うと、恐竜のお母さんが「待ってろ」という感じの身振りをしてから歩き出した。
「え、なに？　まってればいいの？」
　恐竜のお母さんはすぐ戻ってきた。そして海美の手に、咥えていたに何かを差し出す。
「おかしだ！」
　受け取った海美は驚き、満面の笑みを浮かべた。小さなキャンディは、誰かの落し物だろうか。
「子そだてのおれいかな、ありがとう！　またこんどね！」
　気持ちが通じたのが嬉しくて、いっぱい手を振った。

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