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【寝子祭】前夜祭ダンシングアピール
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夢宮のアイドルソングを最後に、大きな盛り上がりを見せて終わったミスター・ミスコンテスト。
続いて始まるのは――
女装男子による裏ミス、そして男装女子による裏ミスターコンテストだった。
「えーと、哀坂さん? 裏ミスに出場ですよね。そろそろ控え室で準備をお願いします」
実行委員の
久良木 優菜
は、控え室に来ていない生徒に声を掛けて回っていた。
名前を呼ばれ、家族と共に立食を楽しんでいた
哀坂 極夜
は思わず目をしばたく。
「え? わ、私?」
そんなものに参加申請をした覚えはない。何かの間違いではないかと尋ねようとしたところ、ずい、と目の前に何かを渡される。
「ほら……用意しといてやったぞ……」
顔を上げると、そこに立っていたのは姉の
哀坂 時音
である。赤く長い髪をいつものように顔に巻きつけているためその表情は分からないが、言いたいことはすごくよく分かる。
(……分かりたくはないけど、はあ)
エントリーされているからには出場しなければならない。
これ以上モタモタしていたら進行に遅れが出るか、とため息をひとつ着くと極夜は姉から水着を受け取った。
裏ミス控え室は、ある意味でとんでもない状況になっていた。
ありとあらゆる女装姿に身をつつんだ男子たちの生着替え。まるで女子と見まがうほど気合の入った生徒もいれば、女装してなお雄雄しさを隠そうともせず堂々としている生徒もいる。
「ふーん……さすがに皆さん気合入ってますね。本当に女性みたいな人も――」
そこで極夜は、何やら自分に向けられた視線に気づく。
そちらに顔を向けると、目をきらきらさせながらこちらを見る小柄な少年――
大江山 結月
が立っていた。可愛らしい顔立ちをしており、女物の水着を着ている姿は本当の美少女のようだった。
が、この控え室にいるということは、彼も正真正銘の男なのだろう。
「いやぁ、似合ってるっスね。その水着姿」
にこやかにそう声をかけてくる大江山。女装の水着姿を褒められても、と内心複雑な気持ちになりながらも、ありがとう、と極夜は言葉を返す。
「そういう君もすごく可愛いよ。参加者なのかな?」
「はい。もしよかったら一緒に出ないっスか」
大江山はエントリーナンバー1番として登録されているのだが、いきなりの登場で1人は心もとないと一緒に出てくれる人を探していた。
1人じゃどうにも緊張しちゃって、と笑いながら言う大江山。
「ええ、私でよければ。仲間がいる方が心強いですしね」
大江山の提案を快諾する極夜。目の前の少年は人がよさそうだったし、何より2人で出れば注目度もその分減るに違いない……と考えたからだ。
「よーし、そうと決まったら打ち合わせっス! まず登場のダンスは……」
もう出番まで時間がない。2人で手短に出番の打ち合わせをしつつ――
大江山は、ちらりと極夜の水着姿を盗み見ていた。
(この人もかなりの美形っスね……これはいい素材を見つけたっスよ)
ミスコンテストの最後のステージが終わり、しばらくした後――
会場の明かりが唐突に消える。
「次はいよいよ……裏ミスター・ミスコンテストの始まりです!」
「まずはミスコンテストと同様、熱湯風呂に挑戦する皆さんにご登場いただきます!」
裏ミスの司会を務めるのは
安本 マコト
と
結梨亜・カールシュテイン
の2人だ。
「エントリーナンバー1番は、なんと控え室で急遽結成された美少年ペア!」
「哀坂極夜さんと、大江山結月さんの登場デスー!」
司会の声に合わせて、海外アイドルのキュートでクールなダンスミュージックが流れてくる。極夜の注文は「適当にそれっぽい曲を流して」というテキトーなものだったが、音響の
早坂 恩
のセンスはバッチリだった。
「うん、あの2人に似合ってるじゃない」
自分のチョイスに満足しながら、早坂はステージ袖で2人のダンスを見守っている。
ダンスといっても2人はこれといって踊りが得意というわけでもない。その動きは素人くさくぎこちないものだったが――その慣れていない感じがそれはそれで妙に可愛らしい。
あちこちから「可愛いー!」「似合ってるー!」と女子からの声援が飛び交う。こうなったら楽しむしかない、と開き直った極夜はノリよくウインクを返したりしている。
「女装男子キタコレー! キュート&美人のコンボは破壊力抜群っス!」
「極夜兄さんも、一緒にいる方も……私より色っぽくて女の子らしい……」
熱心にカメラのシャッターを切りながら声援を送る
田中 康羽
。
一方、なんか私自信なくなってきました、とがっくりうなだれるのは極夜の妹である
哀坂 零葉
である。
「おやおや、どうしたんスか? 元気なさそうっスね」
ファインダーから目を離すと、田中は何やら落ち込んでいる様子の零葉に声をかける。
「あ、いえ……。なんだか、兄の方が私より色っぽいなと……」
「そんなことないっスよ、零葉さんもすっごい可愛いっス。ミスコン、出ればよかったのに」
田中の言葉に、とんでもない、と言わんばかりに零葉は首を振る。
「わ、私なんか……こんな体で水着なんか着ても、恥をかくだけです」
はあ、と自分の胸を見つつため息を着く零葉。
そんな彼女を間近で見ていると――いてもたってもいられず、田中は彼女に抱きついた。
「えっ、や、ヤスさん!? 急に何を……」
「あーもう、零葉さん可愛いなあと思って!」
小さいのは小さいので一定の需要があるんスよ! などと言いながら、その控えめな零葉の胸をぺたぺたと触る。
「や、や、やめてくださいっ」
「ふふふ、嫌がる零葉さん、充分に色っぽいと思うっスよー!」
(あの2人は何をやってるんだか……)
ステージからいちゃいちゃとくっつきあう双子の妹の姿が見えて、極夜は苦笑いをする。
「極夜さん、笑ってる場合じゃないっス! いよいよ来ましたよこの瞬間……」
大江山に声をかけられ、え? と顔を上げると――そこには、いつの間に用意されたのか、例の熱湯風呂が設置されていた。
「え、こ、これ……入らなきゃいけないんですか?」
「そうっス。結月たち、とくに3分アピールを考えてないからこれになったんス」
「ええー……まいったな、でも仕方ない、か」
おそるおそるつま先から入っていく2人。
「あつッ!」
めちゃくちゃ熱い。が、めちゃくちゃ熱くしすぎた風呂くらいの温度である。我慢すれば入れないこともない。いくよ結月くん、と声をかけると2人で一気に腰を沈めていく。
「う……ああっ!」
「あ、あ、あつい……っ!」
ぷるぷると身を震わせながら必死に熱さに耐える女装の美少年たち。
その様子は――ごく一部の女子たちの目を釘付けにし、またごくごく一部の男子生徒たちに新たな境地を開かせるのに充分なほどの色っぽさであった。
「も、もう限界っス、極夜さんっ……!」
「ま、まだ駄目です。もう少し……もう少し我慢して……っ!」
ひとしきり耐え切ったところで、大江山はもう無理っス! と熱湯風呂から飛び出した。
それに釣られて極夜も風呂から上がると、急いで用意された氷を肌に当てる。
「ふ、ふう……あ、あ、熱かった……」
極夜にとっては熱さでそれどころではないのだが、ぺたんと座り込んで火照った体を冷ます様子さえ妙になまめかしくみえる。ごくごく一部の男子と女子は、その様子にごくりと生唾を飲んだ。
「ひゃー、熱かったあ……だけど、楽しかったっスね!」
隣で同じように体を冷ます大江山。その顔はどこか晴れ晴れとしている。
「そうですね。今回は誘ってくれてありがとう」
1人で熱湯風呂はキツかったかもしれない、と苦笑いをしながら極夜は言う。
「こっちこそありがとうございました! もしよければ、これからも仲良くしてくださいっス!」
可愛らしい大江山の笑顔に、もちろん、と哀坂は笑って応じるのだった。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
花村翠
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
学校生活
定員
1000人
参加キャラクター数
82人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年08月15日
参加申し込みの期限
2015年08月22日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年08月22日 11時00分
参加キャラクター一覧
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