熱血！　寝子島不良外伝！　～西鬼末旧聖主伝説～｜リアクション

熱血！　寝子島不良外伝！　～西鬼末旧聖主伝説～

【決着、西鬼末】

「俺は、生まれつき醜い顔だ。だから、何もかもから見放された――が、一つだけ勝ち得た者がある」
　4対1のこの状況でもな語る西鬼末は引かない。
　源三と新が前に出てきたところで、語るように言った。
「あぁん？」
「それは、――喧嘩だ！」
　次の瞬間、すさまじい頭突きがその言葉につられた新に入る。
「ぐっ」
「アニキっ！　この野郎！」
　鳩尾に一撃入った新に代わり、源三がとびかかる。
「これに勝てば、顔がなんだろうと称賛される！　恐れも、僻みも！　全部自分で得たモノだ」
「そんな恥ずかしいことを平気で言うな！」
　源三はここでラッシュをかける。
　手や足を使ってけりこむ喧嘩殺法だ。
「だから、寝子高に仕掛けたっていうのか！　そんなに喧嘩をしたけりゃ自分たちでやってろ！」
　亮は、そう言って源三とは逆の位置から強化された拳で打つ。
　拳で何かを砕く感触に、ゾクリとした何かを感じた。
　それは、人間としてこれ以上踏み込んでいいのか、ためらう領域だ。
　本能が知らせたのだろう、少し引いた場所に拳が飛んできた。
　その大ぶりの一撃は、源三を打ち据える。
「つっ！」
　しかし、そのすきに背中の消火器を抜き放つ荒太郎。
「復讐心に燃えてんのわかったけど、うるせぇ消火だ消火！　これでも食らって、頭冷やしやがれ！！　迷惑なんだよ！」
　後ろにあるキャンプファイヤーごとぶつける勢いで放つ。
　後日、校内の消火器チェックでエラーがでるだろうが、きっと何とかなるだろう。
　その噴射を突き抜けて、立つ西鬼末。
「――そうかただの迷惑か……嘘だな」
「何？」
「嘘だって言ってるんだろうがぁ！　あぁっ！」
　その気迫に、一歩下がる荒太郎。
「――喧嘩は、楽しくやんなきゃなぁ。楽しくなかったとは、言わせねぇぞ！　ひぃぃぃやっはーーーっ！」
　炎を吐く西鬼末。もろに食らうか、といったところで影が荒太郎の前に出てきた。
「――ぐっ」
　前に出てきた西鬼末のその一撃を受けたのは、荒太郎ではなく、亮だった。
　彼は、素早く転がると火が延焼する前に消す。
「スキありだっ！　いくぜ！」
「合点承知っ！　アニキ！」
　新と源三のダブル攻撃が、西鬼末に決まる。
「寝子高はお・れ・らのホームグランドだ！　ここからいなくなれーっ！」
　さらに、荒太郎の一撃が決まり、そのまま後ろのキャンプファイヤー出会った場所に突っ込む西鬼末。
「どいつもこいつも、くそ……がっ」
　意識不明の重体。これがその喧嘩の結果だった。
　荒太郎が差し伸べようとしていた手も、振り払われる。
　西鬼末が倒れた時、不良たちは次々と降伏、一部の寝子高生も手伝い、全員でグランドを元に戻し、一部はひそかに西鬼末を病院へと担ぎ込んだ。
　今後、彼が出てくることはないだろう。

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