熱血！　寝子島不良外伝！　～西鬼末旧聖主伝説～｜リアクション

熱血！　寝子島不良外伝！　～西鬼末旧聖主伝説～

【西鬼末と戦う簡単な方法は雑魚をつぶすこと、問題だったのはその雑魚つぶしの方だ（たぶん）】

「つまるところ、雑魚の不良君たちが彼らの邪魔をしているわけ、ね」
　うふふと笑う蛇那伊に、さっきの勢いでついてきた莉鳥は言う。
「でも、本当にどうするのよ？」
「こういう時、乱入は華よ？」
　ウインクしながら言う蛇那伊。
「……はぁ？」
　息を吐くように意味が分からないという顔をする莉鳥。
「こう、するっ！　のっ！　よぉおおおっ！」
　蛇那伊は先ほど自分で倒した二人の不良をつかみ上げると、そのままそれを丸太のように扱う。
　そして、グラウンドで乱闘している箇所に突っ込んだっ！
「は？」
　訳が分からないというか、現実に追いついてない莉鳥をよそに、雑魚の群れに向かってつかんでいた不良を、そのまま投げた。
「オカマ・ダブル人間砲弾っ！」
　どどどどどっ！
　将棋倒しのように不良たちが蹴散らされる。
「何者だっ！」
　不良たちが慌てて体制を立て直し叫ぶ。
「忘れたかしら？　あの熱い時を……あたしは覚えているわっ！」
　そのまま人間砲弾に負けない速度で、グラウンドの中央、つまるところ西鬼末の近くにたどり着く。
　しかし、今の彼は西鬼末を相手に取るつもりはなかった。
「さぁ、起き上がるのよ。寝子高の生徒ならしゃんと……しなっ！　さぁぁぁい！」
　そのまま中央の不良を正拳で吹き飛ばしつつ、雑魚に手間取っているほかの面々に声をかける。
　なお、正拳は中国拳法とプロレスなどの格闘技を経験しているからこそ出された、パワーアタックだ！
「で、でたーーーーーーーーっ！　四天王北山と死闘を繰り広げたなんか変な奴！」
「失礼ね！　けど、紹介ありがとう！　かーらーのー！」
　叫ぶ不良たちをよそに、ぎらりと目を輝かせる。
　そして目の前にいたちょっとイケメンな不良をこれもやはり2人同時に持ち上げてそのままかき抱くように抱きしめる。
「オカマ・ホールド。あら、あなたたちいいオ・ト・コ（はぁと）」
　ばぎばき。それは、熱い抱擁か熱いべーぜか。
「ぎやぁぁぁ」「いぎゃぁぁぁ」
　悲鳴を上げたのはどういう意味であったろうか。
「お前ら、複数で囲んで袋にしろ！」
　西鬼末の言葉に気が付いたように不良がホールドしている蛇那伊に近づく。
「ふふふっ、四天王が来たり天帝が来たりした時にも暴れたアタシに雑魚が相手になると思って？」
　その瞬間、2人を手放す――と思いきや、そのまま大きな手でそれぞれの足をつかむ。
　そのままコマが回転するかのように、スピンしつつその筋力と運動力を利用し、前にはじける。
「幾度となく雑魚を破った、今必殺の……オカマっ！　タイッフーーーーンッ！」
「「「「「「ぎゃぁぁぁぁっ！」」」」」」「「「「「うわぁぁぁぁっ！」」」」」」
　瞬間、不良たちははじけ飛ぶようになぎ倒されていく。
　そのジャイアントスイングは荒れ狂い、さながら嵐のように不良たちの間を駆けぬけた。
　どさり、と蛇那伊が持っていた2人の不良を手放した時、周囲には立っているものはほとんどいなかった。
　燃えるキャンプファイヤーの火に照らされて、蛇那伊の汗がきらりと光り星となった。
「この美しさは……罪ね」
　それに応えるものは誰もいなかった。
　この後、蛇那伊は莉鳥と共に残る雑魚を相手取り、他の戦線が有利になるように動くこととなった。