「とうとう、この季節がやってきたわね」
寝子島高校の理事長
桜栄 あずさは、一人、寝子ヶ浜海岸に立っていた。
よく晴れたいい天気だ。予報では、明日も晴天。
絶好の潮干狩り日和である。
「酒蒸し、味噌汁、クラムチャウダー。パスタに入れるのもいいわね。ああもう、こうしちゃいられないわ」
あずさは携帯電話を取りだし、電話をかける。
「……あ、もしもし、
牛瀬先生? 明日は生徒たちを集めて、潮干狩りをしましょう!」
四月の末ともなれば、ゴールデンウィーク。
ゴールデンウィークといえば、潮干狩りだ。
「ってわけで、牛瀬先生、準備のほうはよろしくね!」
電話の向こうで、牛瀬先生はまだ何かまくしたてていたが、そんなのは知ったことではない。
あずさは清々しい顔で通話を切った。
「これでオッケー。明日は昼頃になったら様子を見に来ようかしら。その頃にはきっと、あさり料理も出来てるわよね」
ふんふんと鼻歌まじりに、あずさは海岸を歩いていった――。
潮干狩りです、こんにちは。
今回の舞台は、寝子ヶ浜海岸。
寝子ヶ浜海岸は、地図のG-11&H-10のあたり。
朝の8時に現地集合です。
海岸には牛瀬先生がおおわらわでかき集めた、潮干狩りの道具がそろっています。
ざっくざっくとあさりを掘って、一時間ほど砂出しをしたら、皆でおいしく食べてしまいましょう。
もちろん余った分は、おうちに持って帰ってくださいね。
着替えやタオル、持ち帰り用の袋は、各自で用意をお願いします。
潮干狩り用の熊手と網の入れ物は、牛瀬先生が用意してくれています。
マイホームパパな牛瀬先生のことですから、簡単な調理道具もぬかりなし。
浜辺で火をおこして、皆さんを待っていてくれるはず。
さて、この寝子ヶ浜海岸。
待ち構えているのは、おいしいあさりだけではありません。
神魂の宿った海の生き物が、ちらほらと生息している様子。
浜辺をうろうろしているカニには要注意。触れてしまうと数分の間、カニ歩きしかできなくなってしまいます。
また、踏んづけると必ず転んでしまうワカメとか、
触ると背中がかゆくなるアナジャコ。
手に持っている間、鼻血が止まらなくなるハマグリ。
エビに1メートル以内に近づくと、なぜか陽気ではじけた気分になってしまう、なんて話も聞きますね。
海岸に集合してから、解散まで。
連休の午前中を、学校のお友達とわいわい楽しく過ごしてみませんか。