ダンシングで人類愛な祭りの準備｜リアクション

ダンシングで人類愛な祭りの準備

【ダンシングで人類愛な祭りの実行委員会議事録〔金券篇〕】

「じゃあまず金券の種類だが」
　吉祥寺黒子がそう切り出したところから、今日の主な議題である金券――『にゃっぽ』の種類とデザイン、配布方法についての会議が始まる。
「俺は100・500・1000の三種類を提案するぜ。あんまり細かすぎてもかさばるし、逆に単位が大きすぎても崩すのが面倒だしな」
　黒子は百・五百・千の三種類を提案した。
「僕も100・500・1000の三種類に賛成です」
　と、それに賛同の意を示したのは倉前七瀬だった。
「あんまり細かくする必要もないと思いますし、シンプルイズベストですよ」
　七瀬が賛成し、現時点でまず三種類案に二票集まったことになる。
「私も、100・500・1000の三種類でいいと思います！」
　さらに一票をあげたのが、結梨亜・カールシュテインだった。
「出し物の詳細がまだわからないので何とも言えませんが、場合によっては1000はなくていい気もします」
　と、二種類あるいは三種類というのが、彼女の提案のようだった。
「あれ、みんな意外と少ないんだなー」
　と、意外そうに声をあげたのは安本マコトだった。
「俺は50・100・200・500・1000の五種類を考えたんだけど」
　マコトは少し困ったような顔をしつつ、五種類案を提示する。
「うーん。私も50・100・500・1000を提案しようと思ってたんだけど、50がちょっと微妙な気もするのよねー」
　と、四種類（または三種類）案を提示したのが、早坂恩だった。
「う～ん。じゃあとりあえず一番意見が多かった100・500・1000の三種類案で話を進めてみようかなぁ。じゃあデザインはどうするぅ？」
　由貴奈がひとまず意見をとりまとめて、議題を次のデザインへ移行させる。
「外国通貨みたいなオシャレな感じにしたいな。あと金額が一目でわかるように種類ごとに色をわけるってのはどう？」
　マコトの意見におおっと議場がどよめいた。
「外国通貨っぽくするなら、たとえばユーロみたいに大きく数字を入れて、その横に単位をいれる感じかしら。それと何か種類ごとに看板になるモチーフを入れたいわね。人とか猫とか」
「僕は寝子高なだけにネコのモチーフを入れたいとですね。単位も『にゃっぽ』ですから名前との調和もとれてると思いますし」
　恩がマコトのアイデアを一歩具体的なイメージへと押し進め、七瀬のアイデアにも感嘆の声がちらほらと漏れる。
「はーいっ！　ネコのイラストをいれるなら、肉球とかのモチーフもいれたいデス！　色をつけるのもとっても賛成デス！　たとえば100はピンクで、500は青とか？」
　元気よく挙手し、結梨亜もアイデアを述べていく。
「よし、せっかくだから全員の意見を上手く取り入れようぜ。外国通貨風にして、猫の肖像画をいれて、種類ごとに色は変えて数字は大きく、肉球もワンポイントでつける。――サイケデリックだろ？」

『異議なし！』

　全員一致で、吉祥寺のサイケデリック案が可決された。
「うんうん。いいねぇ。カオスな感じだねぇ。あとは配布の方式かな？」
「一度単位別にわけてまとめて、そのうえで封筒で配るのがよか気がしますー」
「そうね、おそらくはセット売りになるでしょうから封筒に入れるのは賛成よ。１０００とか１２００とか」
「セット、バラ売り両方あるといいな。セットなら、俺は１５００、３０００、５０００で封筒にわけて区切りたいぜ」
「バラ売りは私もあると嬉しいデス。あとせっかくなら封筒も種類ごとに何か印刷したいなっていうのは欲張りすぎデスかね？」
「全然いいと思うよぉ。うん。単位は『にゃっぽ』、デザインは全部載せの『サイケデリック』、単位は『１００、５００、１０００の三種類』、セットは『デザインつきの封筒に入れて販売』。だいたいこんな感じかなぁ。じゃあ今日はここまで。次回はいよいよ企画会議をするよぉ」
『了解！』

　こうして少しずつ、着実に、祭りの準備が進んでいく。