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寝子島高校
サマー! 部活動のお時間です! ~運動部編~
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野球部2 <野生美>
寝子島高校は後攻、つまり先に守備につく側だった。
「……」
円陣の後、グラブを装着し、無言のままセカンドを目指す
新庄 武蔵
。彼の胸中は複雑だ。
スタメンが発表されたのはほんの数分前のロッカールーム。1年生での大抜擢で、選ばれた武蔵。人員不足ではない。先輩の中にもセカンドを守れる選手はいた。
自分がスタメンに選ばれたのは誇れることだし素直に嬉しい。しかし、今年最後の3年生にとってしてみれば……。彼らは武蔵の背中を押して送り出してくれたが、真意のほどは定かではない。
(そんなこと考えてる場合じゃないのはわかってる。ベンチにいる仲間や、マネージャーのひびきや先公、見送ってくれた寝子島の人たち……あとはえーっと、家族とか……)
段々と論点がずれてくる。
(あーもうわけがわからなくなってきたぜ!)
甲子園の雰囲気に飲まれている様子にいち早く気づいた、キャッチャーの
山路 源太郎
が近づいてくる。
「なんや武蔵、緊張してるんか?」
「いえ、別に……」
「1年やからって遠慮せんでええ。お前がここにおんのは、お前の力や。そしてみんなお前の力を信じてる。お前の積み重ねてきた練習量も知ってる。お前もそんな自分を信じるんや。それ以外のことは試合で考える必要なんてない」
「……はい!」
強烈な一球をもらった気がした。
「山路先輩……今日はよろしく頼みます!」
「よっしゃ! みんな全力でやりきったろや!」
外野にまで届く大声で源太郎は叫ぶ。
「甲子園の土持って帰るために来たんやないで!」
「そうだ、俺たちは勝ちにきたんだ!」
武蔵も腹から声を出し己に喝。
「せや! 勝って寝子高に錦をかざるんや!」
おう!
いよいよプレイボール。
守備は順調な滑り出しだ。最善の連携が続き、ミスはない。一丸全力のプレーで3者凡退のチェンジ。
寝子高の攻撃。1番バッターが打席へ向かう。その間に源太郎は
天馬 ひびき
からデータ表を受け取る。キャッチャーとして、ピッチャーの今日のコンディションを客観的に把握しておく必要があった。
「球種ごとの球速平均は……これやな」
「はい」
「うん、いい調子や」
いつもよりは若干落ちているものの、甲子園という大舞台への緊張を割り引けば上々だ。相手バッターは、うちのピッチャー以上の緊張の中で打席に入っているはず。
「わしらの武器は強靭なメンタル、そしてこのひびきのデータや。いつもおおきにな」
「桐島先生仕込みのデータ野球は甲子園一です!」
そう言いながらひびき、ビデオを相手チームのピッチャーにズーム。投球フォームが事前に収集したデータと食い違いがないかなど、徹底的に分析する。試合はデータ収集ではなく、データ考察。データは試合前に収集済みであるべき。これが桐島式データ野球だ。
「相手のピッチャー、球種多いっすね」
口の中で飴をゴロゴロさせながら武蔵がデータファイルを覗く。飴は、試合前にひびきが「瞬間エネルギーチャージの魔法アイテムだよ!」と選手全員に配ったものだった。
「一つ一つの切れはさほどではない。十分に対応できるはずだ」
データファイルには球種ごとのリリースの傾向もこと細かく書かれている。これも桐島先生の提案によるものだった。
「ほなひびき、引き続きデータ分析頼むで」
そう言ってウィンクする源太郎。
その後も両者加点のないまま試合は続いた。武蔵を始めとした守備連携、源太郎による展開や風向きなども考慮した投球リード、そしてひびきによるデータ考察が功を奏し、柔軟性に富んだ応用力のあるプレーを見せる寝子島高校野球部。観客席では金属バットが鳴る度に沸き、三振を取られる度に溜息がもれる。フィールドの9人、ベンチに座る控え選手、そして観客、全てが一つになった全力野球だった。相手もそれに負けじと、ほぼミスのないプレーを披露している。
桐島式のデータ野球が活きるのは中盤を過ぎてからだった。相手投手の放る得意のカーブだけは、全打者がリリースでほぼ見抜けるようになっていた。切れがいい分放ってくるまでの溜めも多いのが判断の決め手であったが、反面なかなか芯に当てることもできない。せいぜいファールゾーンのフェンスを揺らすだけということが多かったが、それでも数球余計に投げさせることができ、投手のスタミナをすり減らすことに成功していた。
「地味な戦略だけれど、これが勝敗のカギを握るのよね」
「そうだ」
ファインダーを覗いたまま、もう片方の目では裸眼でプレイを見守るひびき。データの記入は記録担当の女子マネージャーに頼んでいる。相手の球速が落ちていることはデータが物語っている。桐島先生もそれを見てしきりにうなずいている。
「これならいけるで」
源太郎が次のバッターのケツを平手で打つ。
「お前が塁に出たら、間違いなくわしがホームに帰したる」
「山路が打つかどうかは俺にかかってるってことかよ!?」
「にひ、そういうこっちゃな。塁に人おらんなホームラン打つ甲斐ないやろ」
塁に出ろ。それがわしの闘志になる。もう一度ケツを叩いて送り出した。
カキーン
この日初めて、快活な金属音が甲子園の空に響く。センター前ヒット。ワンナウト1塁。襷は確かに源太郎へと託された。
「絶好のチャンスやな。ここで打たなみんなにあわす顔のうなるわ」
ネクストバッターズサークルから打席へ。軽く素振りをすると、いい感じの緊張感が振動として手に伝わった。観客席からはひと際威勢のいい声が届いてくる。ベンチの仲間たちの声も喉がちぎれんばかりの声量だ。
(今打たれたのはカーブやから、しばらくはもう投げて来んやろ)
他に調子のいい球はなかった。するとストレートで勝負してくる可能性は高い。ではどの位置を狙ってくるか。自分が球を受けるキャッチャーだったらどういう指示を出すかを想定し、次の球を見定める。
(おそらく際どい球を放る。そして大抵)
ピッチャーが振りかぶって、
(こういうときに限って悪球コースになるんや)
投げる。球威はある、やはりストレート。考えるより先に動く源太郎。体が勝手に反応している。真中やや上の軌道だ。
(もらったで!)
「のらぁぁぁーっ!」
フルスイング。弾道はやや低めだが、レフト方向へ強い一発が発射された。
「のびろーのびろー!」
ファインダー越しに球の行方を追うひびき。
源太郎の手応えは十分。ホームランコース。
であったが。
(向かい風か)
バックスクリーンの国旗がこちら側へなびいている。上空で球はみるみる勢いを落とし、レフトの上を抜けたもののフェンス直前でバウンドした。
(まあランナーは帰って来れるやろ)
寝子島高校、一点先制だ。
「わし、なかなかええ仕事したで」
二塁で得意のウィンク。今年の甲子園の初得点は源太郎がたたき出した。
割れんばかりの拍手やメガホンの音に包まれる場内。続く打者は空いている一塁へ歩かせるフォアボール。さらに次の打者は三振に打ち取られ、ツーアウト1・2塁。ここで1年生唯一のスタメン武蔵に打順が。
(代打か?)
ネクストバッターズサークルからベンチをうかがう。動きはない。
(この場面を俺に託すのか)
セカンドランナーの源太郎が武蔵に向かって力強くうなずく。
(山路先輩、絶対に帰してみせます)
アイコンタクトを取り、打席につく。
(こんなピッチャーなんかに……負けられるかよ!)
精神を研ぎ澄まし、自分とピッチャーしかいない空間を作りだす。
(いい感じに集中できてる)
その感覚通り、武蔵は相手に翻弄されることなく球についていけていた。いきなりツーストライクを取られ追い込まれるものの、そこからの粘りは1年生離れしていた。甲子園を観戦するファンにとって、この日最も印象に残った選手は武蔵かもしれない。
粘り粘ること12球目。フルカウントのときに運命の分かれ目は訪れた。際どいコースの変化球。武蔵にとっては得意のポイントだった。ボールだったら満塁だが……カーブの切れは最初よりも格段に悪くなっている。ストライクすれすれかもしれない。なんてごちゃごちゃと考える余裕もなければ、そのつもりもない。
(思いっきり振る!)
「負けるわけにはいかねぇんだ!」
ボールは三遊間への直球。コースもスピードも申し分なくヒットの当たりだ。さらに1点が追加されるかと思われたが。
セカンドの超ファインプレーでボールはグラブへ収められてしまう。スリーアウト。
「くそっ!」
追加点が欲しかったが、一点のリードを守る展開となった。
「んー惜しかったね」
ひびきが拳を握りしめながら言う。
「ああ、いい当たりやった」
観客席からは敵味方問わず拍手が続いている。
(守備で取り返す!)
気持ちは折れるどころか、さらに火を付けた。その後も武蔵は素晴らしい守備を見せる。甲子園という大舞台で大きな成長を遂げているのを、武蔵自身感じるのであった。
しかしここから——試合は大きな変局を迎える。
試合終了のサイレンが鳴り響く。
宮祀 智瑜
は呆然とテレビを見つめたままだった。
「負けて……しまったのですか」
自然と涙が流れる。
1−2。終盤で逆転を許した寝子島高校、最後まで踏ん張るも点にできず、一回戦敗退となった。テレビの解説が「投手の交代がキーだった」と伝えている。相手チームのピッチャーが変わった途端、寝子島が劣勢になった。データが乏しい選手だったのだ。
「あっ」
カメラが桐島先生を映していた。いつもと同じポーカーフェイスがそこにある。
「でもどこか寂しそう……」
尻のポケットから何かを出すのが見えた。手の平を開いてじっと見、しばらくするとまたギュッと握りしめて、大きくうなずいた。
(負けはしましたが……とてもすばらしい戦いでした)
テレビも寝子高の頑張りを讃えている。来年へつながる一戦だったと。
(次はきっと勝てますよね義弘先生!)
帰ってきたら甲子園について色々聞きに行こう。そう決める智瑜だった。
数日後、寝子島高校野球部部室。
「これでよし……と」
窓際でひびきが植木鉢に種を撒いている。甲子園から持って帰ってきた土がブレンドされていた。
数ヶ月後に咲く花の名はキバナコスモス。花言葉は「野生美」。
「ん、マネージャ、何を植えとるんや?」
「秘密だよ」
土を手の平でならしながら答える。外からは心地よい風。
「ま、優秀なマネージャのすることだから、次の勝利につながるものなんだろ」
グラブを磨きながら武蔵。
「ね、みんな」
くるり身を返すと、練習準備に余念のない部員たち全員に向けてひびきはお辞儀する。
「甲子園、連れて行ってくれてありがとうね」
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担当ゲームマスター
小西 秀昭
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
なし
シナリオジャンル
日常
学校生活
スポーツ
定員
1000人
参加キャラクター数
74人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2014年05月17日
参加申し込みの期限
2014年05月24日 11時00分
アクション投稿の期限
2014年05月24日 11時00分
参加キャラクター一覧
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