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【お三夜】猫と人、二つの世界が交わる夜
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●恋心、小舟に遊ぶ
花火が水中で弾けると、耳福池に浮かぶ小舟たちから感嘆のため息が漏れる。
「綺麗だね」
頬を橙や青や緑の反射で染め変えながら、
高梨 彩葉
は上目遣いに恋人を見た。
岸そばに浮かぶ白っぽい小舟のひとつ。向かい合わせに座って彩葉の熱い視線をひとり占めしているのは、朴訥とした風貌の
志波 拓郎
。――と、何故か一緒に乗り合わせてしまった茶トラの猫。おめめはくりくり金色で、拓郎の膝の上でにゃあと鳴く。
「ありゃ、いつの間にか猫ちゃんも乗り込んじゃったみたいだね。きみはどこの猫さんかにゃー?」
彩葉はそう言いながら、猫の顎をごろごろと撫でた。それでなくても狭いボートで、彩葉が猫を撫でようと身を寄せるものだから、彼女の髪からシャンプーのいい匂いが漂って来て、ふわりと鼻先を掠める。
「彩葉さん……猫、抱いててもらって、いい?」
拓郎は僅かに上擦った声でそう言った。彩葉は拓郎の動揺には気付かなかったようで、
「あ、そうだね、このままだと漕ぎづらいよね」
「それに、落ちたらと思うと、怖い、から……」
「了解だよ。おいで、猫さん」
と拓郎の膝の上から猫を救い上げると自分の膝の上に抱え上げた。
「これで行けそう?」
「ありがとう……漕ぐのは任せて……!」
拓郎は静かに張り切ると、ぐい、と櫂を大きく漕ぎ出す。
拓郎は漕ぎながら思いだしていた。
『お三夜祭り、一緒にいかない?』
ある日の帰り道、そう切り出したのはまったく同じタイミングだった。あのときは、あまりの以心伝心ぶりにびっくりして、顔を見合わせて笑ってしまった。
今日はお互い待ち合わせ時間の五分前に来て――そんなところも気が合っていて――そぞろ歩くうち屋台で何かおいしいものを買ってボートで食べようということになった。もっともホカホカの湯気を見ているうち、ふたりとも我慢できずに拓郎は箸巻きをパクリ、彩葉はホットドックをパクリしてしまったけれど。
「ボートから見つめるお祭り風景ってとってもきれいだねぇ」
膝に抱いた猫の温かさを感じながら、彩葉はきれいな景色の真ん中にいる彼を見ていた。
(拓郎も張り切っちゃってて可愛いなぁ)
拓郎は他の小舟とぶつからないよう、ちらちらと後ろを振り向きながら、舟を池の中ほどまで進ませる。
「この、あたりで、どう?」
「いいよ。買ってきたものを一緒に食べよっか」
ゆらゆら揺れる小舟の上で、ふたりは買ったものを見せ合った。
「自分はこれ……」
拓郎は小さい林檎飴だった。色は赤と緑で、赤い方を彩葉に「どうぞ……」と差し出す。
彩葉は喜んで受け取ると、デザートにするねと脇におき、膝の上にたこ焼きを広げた。
「出来立てじゃないけどまだほんのりあったかいよ。いっしょに食べよ? はいあーん」
「あ、あーん……?」
戸惑う拓郎の口の中に彩葉はたこ焼きをひとつぎゅっと押し込み、自分の口にも放り込む。
「たこ焼き美味しいよねー」
拓郎はただ頷くばかりだ。
彩葉はさらにひとつ、ふたつ。ほっぺたいっぱいに頬張って、それからアッと声をあげた。
「あ、これタコが入ってない!」
拓郎はやっぱり頷くばかり。あーんの衝撃から立ち直っていないようである。
彩葉は固まってしまった拓郎のほっぺたに触れてほがらかに笑うと、
「そういえば、さっき猫の気持ちが分かる飴を買ったんだよね」
とピンクのセロファンに包まれた丸い飴玉をとり出した。
「せっかく猫さんもいるんだから、舐めてみようか。拓郎も、はいどーぞ」
口の中のたこ焼きを飲み込み、今度は飴を含んでみる。
檸檬に似て甘酸っぱい。猫の気持ちってどんなかんじなのだろうと、ころころと口の中で転がす。
「うーん……?」
甘酸っぱさは感じるけれど、猫になった気はしないな、と思っていたら……。
「あ、彩葉さん!?」
「なに?」
「彩葉さんがネコミミ、ダト……!」
なんと、彩葉の頭の上に、可愛らしい猫の耳がぴょこんと登場していたのだ。
拓郎は心の中で早口で捲し立てた。
(彩葉さん可愛い、ネコミミ彩葉さんとかナンダソレ反則だろう神魂万歳! お三夜様万歳!)
「た、拓郎!?」
彩葉の方も拓郎の頭の上を指差して驚愕しているのだが、興奮してしまって自分にも耳が生えている可能性についてはまったく思い至っていない。拓郎の鈍さに気づくと、彩葉は気が抜けたように肩を落とし、それから込み上げてきた笑いを抑えきれずにあははと笑った。
「……せっかくの猫耳拓郎が目の前にいるんだから、これは記念撮影しなきゃいけないね!」
そっと拓郎の方に移動して、いっしょに映れるよう顔を寄せるとスマホを翳す。
「いっくよー?」
フラッシュとともにカシャリ。
「あっとっと、猫さんも一緒に!」
今度は彩葉が猫さんを抱きあげ、拓郎がスマホを持って、一枚。
写してから、拓郎は横目で彩葉の横顔を見る。
すごく近い。
いつもは長い前髪で隠している青い瞳に、水中花火の光がきらきらと何度も映りこむ。
「ちょ、ちょっと拓郎。いつまで見てるの?」
さすがの彩葉も頬を染める。……けど、何故か離れがたくて……。
まるで時が止まってしまったかのよう。
身じろぎもせずに、互いの瞳を見つめ続ける。
緊張を破ったのは猫さんのやわらかい肉球だった。時間よ動け、とばかりにぺちぺち、と彩葉のほっぺたをパンチして、それでようやくふたりはそそくさと身体を離す。
ぱあんと、大きな水中花火がちょうど小舟の真下ではじけた。
「わあ!」
気恥ずかしさを誤魔化すように彩葉は水中を覗きこんだ。その猫耳がぴくぴく動くのを見て拓郎は思った。
(……元にいつ戻るんだろう? でも可愛いからいいか、うん!)
彩葉は可愛い。はにかんだ笑顔はまるで水中に咲く花火そっくりに、綺麗だ。
「今日は楽しい思い出ができたなぁ、たまにはこういうのも悪くないかもね」
「うん……楽しかった。彩葉さんと一緒で」
拓郎も嬉しくて笑った。
彩葉は林檎飴を舌先で舐めている。拓郎もそうする。
身のうちに宿った火照りを扇ぐような秋風が、小舟を静かに揺らしてゆく。
――どおん!
今度は空に、花火が上がった。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
笈地 行
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
SF・ファンタジー
動物・自然
神話・伝説
定員
1000人
参加キャラクター数
109人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年10月31日
参加申し込みの期限
2015年11月07日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年11月07日 11時00分
参加キャラクター一覧
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