店内は紫色の間接照明でぼんやりと照らされており、空調が効いてひんやり涼しい。
正面には様々な菓子類が陳列されたショーケースが、
右手には客席用の数組のテーブルセットが、
左手には地下へ降りるための階段がある。
来客を告げるドアベルが鳴ると、ショーケースの奥でくつろいでいた人影がゆっくりと身を起こす。
「あれ……? 何かご用かな?」
いや~、ただの暇潰し……ていうか息抜き?だったから、気にしないで~。
ふふ、そう言ってくれると専門店としては嬉しいな~。
小さいお店だしこれでも少ない方なんだけどね。
85%だね、かしこまりました~。
(板チョコを一口サイズに割り、お皿に乗せて差し出す)
はい、どうぞ~。お口に合うかしら?
あ・・あはは、読書のお邪魔だったかなぁ
(慌てた様子に少々面食らいつつ)
へぇ・・やっぱり専門のお店だと品揃えが段違いだねえ
スーパーとかじゃせいぜいビターチョコぐらいしか手に入らないもの
(チョコレートをきょろきょろ吟味しながら)
・・それじゃ、85%のチョコを食べてみようかな?
ふえっ、お客さん!?あわわわっ
(慌てて身を起こすと急いで漫画を片付け手にアルコールを吹きつけ、パタパタとショーケースの側まで掛けてくる)
い、いらっしゃいませ~大変お待たせしました~!
ごめんねーバタバタしちゃってー。
えっと、ブラックチョコレートって言ったよね……もちろんあるよ~。
カカオ70%のほどよいビターと、かなり苦いカカオ85%のチョコ、チョコを超越した苦さのカカオ99%なんてのもあるけど……
よかったら好きなのを試食してみる?
(ドアベルを鳴らしそっと扉を開けて)
失礼しまーす・・ショーウィンドウ見て気になって来ちゃったんですけど
ここはチョコレート屋さんであってますかねぇ・・
もしそうならブラックチョコレートって売ってたりしますか?
コンビニとかじゃあんま売ってなくってねぇ
うーん……夏ももうすぐ終わりかー。
あんまりマイペース経営だと、じ……ししょーに怒られちゃうかな……。
まあ、暇なうちはまったりしててもいいよねー。
(傍らに積まれた漫画本を手に取り、読み始める)