隣接する道場「仙狸館」の稽古場。
過去には門下生で賑わっていたこともあったが、今は昔
現在の利用者はほぼ一人。
一応申請次第で開放されてはいるがその事実を知る者は少ない。
ふむ。やはりご長男でありましたか……って、え? 孫?
ああそういやこないだ施療院の方でンな事言ってた気が……
(再び雰囲気ががくっと崩れ、ぱちくりと相手を見返し)
……えーっ! じゃあ何お前高校生なの!? そのナリで!?
てっきり四十路は越えてるモンだと思って堅苦しく対応したのに! うわ超恥っずい!
穴があったら埋まりたい気分だぜ!!
(などと失礼極まりない文言を述べながら片手で顔を覆って天を仰ぐ)
……。
(しばし後、落ち着いたのか深く息を吐きながら向き直り)
……いや。まあいいや。
同年代だってんならむしろやりやすい。
幸いにして其方様もやる気みてェだし――道場に武術家ふたり。止める理由は、無い。
(三度、態度の急変。瞳は獰猛な闘志を湛えて相手を見据える。
しかし身体は緩やかな動作で。右半身。両手は腰の高さで水平に。すり足でじりじりと距離を詰める)