隣接する道場「仙狸館」の稽古場。
過去には門下生で賑わっていたこともあったが、今は昔
現在の利用者はほぼ一人。
一応申請次第で開放されてはいるがその事実を知る者は少ない。
(往なしから投げの動作へ移行する瞬間、ぞくりとした感覚が身体を走った。
かつてない程に研ぎ澄ませた感覚が最大級の危険を察知し、本能が全力で警鐘を告げる。
しかしそれでも尚、止まらず――否、止めずに
積み上げた武への信念が警鐘を捻じ伏せ、愚直なまでに技の完遂を求める。)
……――シィッッ!
(投げ切る。その一念で一気に腰を跳ね上げる。)