ドアを開けると簡素なベッドが見える。
その前にはこの部屋の住人が拘ったのだろう、部屋に不釣り合いな程綺麗に磨かれたアンティークの机と椅子が鎮座している。
食器棚の中身はガランとした中に、ぽつりとアンティークのティーセットが並べられている
…たまに上機嫌でお菓子を焼く姿がみられるとか…。
うん?
なにか聞き間違い、じゃないかな?
(へにゃりと笑顔を浮かべて冴来を見る
冴来がなんで怒ってるのか、なゆたわかんないよ
なゆたは、冴来の悲しむことなんてしないよ?
へんな冴来っ
(くすくすと無邪気に笑いながら
それにしても、冴来を拒むなんて
なぁんか贅沢な奴だね~
(ぷくっと頬を膨らませて
傍にいたいなら、いればいいんだよ
ダメな時はなゆたが話し相手になるよ
冴来はいろんな人に囲まれてるから、
なゆたなんて…必要ないかもしれないけど、ね…。
(暗い瞳で自身の膝を見つめながら
辛い時は、なゆたが美味しい紅茶を淹れてあげる
悲しい時は、なゆたが甘いお菓子をつくってあげる
苦しい時は、なゆたが冴来の痛みを共有してあげる
だから、お願い、だから
なゆたを忘れないで…。
(祈るように目を閉じて