対の衣装を着た精巧な造りの双子人形と
人形サイズの調度品が置かれている。
誰かがここで1人遊びしているとかいないとか。
『ふむ? 私は人形故に人の道理はわかりませんが……弱いこととひとりではいられないことは結びつくのでしょうか?』
『私は人形。今はこうして動き語ることができますが、普段はただその場にいるだけの無力な存在。されど、人形は冴来や……他の方に喜ばれることができます』
『逆に聞きますが、どうしてあなたは強くなろうとするのですか?……それは守りたい方がいるからじゃないですか?』
『この世界に完全は存在しないのではないでしょうか。 完全であるもの、それで完結していることはすなわち変化がないこと。他者を求めないそれは周囲から見れば存在しないこととなんら変わりないでしょう』
『人は人と交わることで生きる存在。ひとりでいられないのは当たり前なのです。一人でいられるのは、きっと心が壊れているから。それか、きっと人知れずに泣いていたからです』
『だから、冴来が寂しいと感じるのは正しいのです。泣きたいと思うのも正しい』(そのままそっと冴来を母親がするよう抱きかかえて、胸を貸してはそっと頭を撫でて気が済むまでそのまま)
『人前で泣きづらいなら、人形の私の前で泣けばいいじゃないですか。この身は人形なのだから』