星ヶ丘寮で優雅な一日を｜リアクション

星ヶ丘寮で優雅な一日を

☆☆☆　インドな朝に熱い視線　☆☆☆

「やはり象は必要だと思う。通学も車より象の方が楽しい筈……」
　プリティヴィ・プラサードは、インドからやってきたインド人です。
　流石に部屋に入らないのと、先日熊先生に怒られたので象は自重中ですが、もっと居心地がいい生活を求め夢想してしまいます。
　既に特に広い部屋を一人占めして、この上なく居心地のいい生活中なのですが……。
「やはり寮に本格インド料理屋もあるべき、香りや刺激が足りないよ。……着替えが面倒臭いな」
　インド感覚で前日着ていたサリーでそのまま寝ていたプリティヴィは、起き上がりだらだらと服を脱ぎ始めました。
　ちなみに帰宅した後一度制服から楽な格好に着替えています。
　そのまま歩いて朝の沐浴へ……脱いだ服が点々と落ちていますが気にしません。回収はメイドさん任せです。
　歩く度に近くの扉や窓が開閉してしまいます。これは彼女のろっこん「マハー・ラージャ・ディ・ラージャ・マルガ」の効果なのですが。
「日本は全部自動ドアで凄いね！　使用人がやっているのもあるのかな、ご苦労」
　本人は気づいていません。
　お風呂へ向かうはずでしたが、寝ぼけてプールに入っていってしまいました。たまにあることです。
　全裸のまま温水プールに入り、香り付けに花をぱーっと水面に散らします。
　お気に入りのジャスミンの花の香りの中、のびのびと全裸で泳ぐプリティヴィ。
「日本は水……綺麗で素晴らしいね」

　こうして目が覚めたプリティヴィはメイドさんが用意してくれた服を着て、鼻歌に併せてふらふら踊りながら朝食に向かいます。
「今朝は……うん和食に挑戦」
　適当なレストランに向かう途中、白髪交じりの髪をオールバックにした紳士、瀬場進が声をかけてきました。
「おはようございます」
「なますて」
　プリティヴィは人とすれ違う度になますてと挨拶します。
　ちゃんと日本語で挨拶することだってできるのですが。
　どう見てもインド人に見える彼女は、（インド人ならこう挨拶するだろう）という周囲の無言の期待に応えずにはいられないのです。
　ほかほか湯気が立つご飯に味噌汁、美味しそうな和食が出てきました。
　スプーンやフォークはもちろん、お箸も使えるプリティヴィですが。
「む……この視線は？」
　また視線を感じてしまいました。
　期待に応える為に！？　つい素手で食べてしまいます。
　しかし。
「卵ご飯は……難易度が高いよ」
　生卵でぬるぬるする手に、ちょっとため息をつくプリティヴィなのでした。

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