ビブリオバトルッ！～文系異種格闘技戦～｜リアクション

ビブリオバトルッ！～文系異種格闘技戦～

● 発表！　ビブリオチャンピオン！

　その後、幾ばくかの質問や意見交換を経て、投票が行われた。
　観光大使として参加中のサンマさんは、『浮気する男は最帝』に投票した。恋の駆け引きに興味深々らしい。

　国語教師の永田孝文は『学生と学ぶソフトウェアテスト』が気に入ったようだ。
「教師としても知っておきたいことかもしれない」という。

　『寝子島にゃんこ』に投票したのは、愛破憂子と、猫好きな恵御納夏朝。週刊タウン情報誌Nyago Worker（にゃーごワーカー）の記者である憂子は、とにかくかわいいしいつか雑誌で特集を組むのもいいかも、などと思ったようだ。

　『にじいろねこたちのぼうけん』に投票したのは、綾辻綾花と八神修である。綾花的には猫率の高さが、修的には自分が紹介した本と似た雰囲気を持つ物語であるところが高ポイントだった模様。

　『斑点学』には、天之川麗仁が投票。
　ドグラ・マグラを経た麗仁は、現役の精神科・心療内科医である架神十字の説明に惹かれるところがあったようだ。

　『星降る夜の旋律』には、『ヘアサロン・Gatto Bianco』の店主平野活斗と北玄が入れた。
　ザ・理系な雰囲気の玄だが、誠実な恋愛が書かれていそうなこの小説が一番心惹かれたらしい。

　『謎の本』……読めるかどうかすら不明のこの本に投票したのは『らっかみさん』フリークの神辺こゆみと鷹峰凪である。凪としてはこの本の紹介が、紹介として一番面白かった、ということのようだ。

　『怪人ヘヴン』シリーズに投票したのは、浮気由自と水守流。
　ギャグ漫画ということで、堅苦しくなく、面白さがストレートに伝わった結果らしい。

　『勝つための心得』には森蓮。
　このエッセイの根底に流れる哲学を知りたい、そう思ったようだ。

　『花ちゃんとふしぎなまち』には仙藤紫と三夜雪月が入れた。
　少女の成長譚という内容が、紫と雪月の心をぐっと掴んだようである。

　『なぜコミュニケーションはうまく伝わらないのか』。
　これには早川珪と上桐亮司が投票した。
　口下手な亮司は仕事に必要な必須スキルとしてコミュニケーションについて学ぶことを欲していたし、逆に会話することが苦手ではない珪は、自分が会話するにあたってそんなややこしいことが起こっていたのかと興味を持ったらしい。

　『チコと耳尻尾の国』には大文字都築が投票した。こっそり本を書いている彼女は、この本の夢と冒険に溢れていそうなところ……そしてケモミミケモシッポが大いにお気に召したようだ。

　『ドグラ・マグラ』に入れたのはゼロ・シーアールシー。
　ミステリがあれば、と思っていたので、これである。謎の本を読んだゼロなら、おそらく読みこなしてしまうのではないだろうか。『オカマバー・ネコ』のママ、ナルミさんこと成田正男もこれに入れている。夜の世界もドグラ・マグラなのであろう。

　最後に、司会者が声を張った。

「栄えあるチャンピオンは――三夜雪月さんが紹介した『さみしがりやのこねこと一番星』です！」

　この本は、リハビリ入院中の友だちに送る本を選びたいと思っていた甘祥子・喜好親子をはじめ、童話に興味のあった架神十字やほっこり温まる内容の本に投票したいと思っていた宮祀智瑜の票を集めた。

　ステージに上がった雪月は感激の面持ちで観客たちに一礼した。
「大好きな本のよさが伝わって嬉しいです！　しずくのみやさん……お姉ちゃんも、きっと喜ぶと思います！」

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