寝子高大掃除で大惨事？｜リアクション

寝子高大掃除で大惨事？

「もしかして、……灯君、見た？　御剣君も……？」
　なんともいえない空気が広がるも、それをぶち破ったのは、……緑の髪の少女。
「有罪（ギルディ）」
　円はそういって丸めて持っていた葉をぽいっ、と投げ捨てる。刀と斗南は険しい表情でじりじり逃げる姿勢を見せる。
「待て、桜庭。あれは事故だ。というよりまだやる気なのかお前は」
「？！　いや、僕は何もしてないし、たまたま風がだな……！」
「ボク、刀君にはさっきも言ったよ。理性があるなら、目をそらせたはずだよって。いいかい？　やっぱりその竿と玉がある限り皆見てしまうんだね」
　円はどうしようもないと哀れんだ表情で２人との間を詰める。どうやって逃れるか考える刀と斗南だったが、背後に殺気を覚えた。振り返らなくても刀には剣道部の先輩である咲である事はなんとなくわかる。
「破廉恥行為は許されざる事。御剣君、灯君、覚悟しなさい！」
「って今度は先輩まで！！」
　それだけじゃない。刀の悲鳴に続くように、夏朝が竹箒をもって構えていた。
「うぅ、忘れてよ……。忘れてよぉおおおおっ！」
「ちょっ、ちょっとまてっ！！」
　斗南へと振り下ろされる竹箒。どうにか逃げるも、じりじり追い詰めようとする円の姿が！　怒りに燃える咲の眼差しも怖い！　３人に詰め寄られ、刀と斗南は大ピンチ！　刀は傍らにいた菜々緒と博美へ救いを求めるようなまなざしを向ける！
「女王、奈良橋！　今、この２人は危ないからちょっと何か言ってやってくれよ！　頼む！！」
「そうねぇ……」
　菜々緒もこの状況には頭を痛め、こわばった顔で考えている。が、博美は真顔だった。
「まぁ、まだ意図的じゃねぇっていうんだな。うん、事故だというんだったら、校庭十周をどれぐらいで出きるか言ってもらおうか」
「「何故さ！！」」」
　思わずハモる刀と斗南。なかなかに混沌としてきている。
「その宣言した時間内にできなかったら……処罰する」
「ちょ、待てよ！　さっきと言ってる事ちがうじゃねーか！」
　刀がおもわず突っ込むが博美は言い放つ。
「今回は、ちょっと偶然にしてはできすぎてる感もあるからな……」
「おいぃいいっ！」
　刀の叫びは届かない！　円は隙を見て２人の股間をつぶそうとその手を繰り出し、それをきっかけに逃走劇へと発展する！
「……み、皆さん……元気、で、ですね……」
　がたがた震える杏奈はストレスの限界に達したのか、そのまま気絶する。受け止めた菜々緒は頭痛を覚えた。

（……なかなかカオス！）
　一部始終を少し離れたところで見ていた拓郎が呆然となっていた。同じようにナスティと彩葉もあっけにとられてしまう。そんな２人がこっちへ向かってくるのを気にしつつ彩葉は思わず呟いた。
「……見た？」
「！　見てないっ！」
　と、激しく竹箒を動かしたその時、音を立てて強風が吹く！　同時に巻き上がる拓郎のシャツ！
「っ！？」
　どうやら箒にひっかかったのかシャツのボタンが外れたらしい。露になる引き締まった身体。彩葉は真っ赤になって顔を隠したが指の間から見えてしまっていた。
「あわわわっ？！　見てない！　見てないよぉ～！」
　赤い顔のまま言う彩葉であったが、拓郎が硬直していた。この時彼女は気づいていなかった。スカートがめくれ上がり、黒ストッキングとその奥にうっすらと薄ピンクのショーツが見えていた事に！
（あれって、自分が誕生日に……）
　そう認識した瞬間、拓郎の意識が途絶えた。事態に気づきスカートを戻したとき、拓郎が地に伏せる。
「たっ、拓郎？！　大丈夫？　ねぇ？！」
　焦った彩葉がゆすり起こすもまったく反応がない。その一部始終を目撃した円は、思わず動きを止めた。
「この場合は……許すべきなのかな」
　実を言うと、彼女は拓郎にも『有罪判決』を下すつもりだった。だが当の本人が気絶してしまうという事態に度肝を抜かれていた。
「どうしよう！　というか何このカオス空間っ！」
「ともかく人呼んでくるよ！」
　困惑する彩葉に円はそういい、数分後には保健室へと運ばれる拓郎なのであった。
　そして、あと一歩遅かったら己の股間が悲劇的な事になっていたであろう刀と斗南は、拓郎と彩葉のトラブルに内心感謝しながらも夏朝と咲、博美から逃げていた。

「……少しよろしいでしょうか？」
　後ほど戻ってきた蓮により、どうにか説得されて咲たちは落ち着く。そして斗南と刀もまた蓮から少し厳しいお言葉を頂く事になったのだった。

　そして、その頃雅人は枯れ葉に埋もれていた。強風の連発にせっかく集めた葉っぱが飛び、すっころんだ所に降り積もったらしい。実を言うと、碧南やナスティなど女子生徒のスカートがめくれたり、えっちぃトラブルがおこる度に雅人はトラブルに見舞われていたのである！
（今日はついてないなぁ……。何で女の子の悲鳴が聞こえたのかもわからないし、散々だよ……）
　しゅん、となる雅人だったが、どうにかこうにか枯れ葉を集めていくのだった。ミリティアとナスティ、碧南が手伝ってくれたお陰で早く集まり、袋に纏めたところで掃除の終了が言い渡された。

　暫くして、校内放送が響き渡る。
「み、みなさんおつかれさま、でした。先生方が焼き芋の準備をしてくださった、ので、みなさんで食べましょう」
　どうにか起きた杏奈の声。それに、生徒たちの完成が響き渡るのだった。

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寝子高大掃除で大惨事？

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