そっくりさんが来た｜リアクション

そっくりさんが来た

「八神君というのか」
　意気投合した二人、修の自宅で食事をいただくことになり、その前にバイクで一走りである。
　九夜山山頂まで一気に飛ばすと、あちこちに猫が顔を出す。
「猫がたくさんいますね」と、嬉しそうにフラッシュを炊く愁。
　そのまま、叢に倒れこむ修。事情は分かったが、どっと疲れた。
「しっかりしてますね」愁が、そっくりさんをほめる。温和で、自分が出来の悪い兄貴みたいだ。
「そんなことありませんよ」修が笑う。自分も、彼と打ち解けることができてうれしい。
「これも何かの縁ですね」笑い合って、再びもと来たコースを戻る。
　家に帰れば、夕食だ。

　―ーって、この食事、むっちゃ豪華なんですけどーっ！！！

　愁の絶叫が、寝子島の夜に響き渡るのは、もうしばらくしてからのことだった。