もぎたて☆フレッシュ！　～どんぐり農園の愉快な果物狩り～｜リアクション

もぎたて☆フレッシュ！　～どんぐり農園の愉快な果物狩り～

　また一つ、星が散った。
　しかし、一つの幕引きは、新たなる闘いの序章にしか過ぎない。

　……。

「ひあんっ！！」

　もうちょっとで倫理委員会に呼び出しを食らうような、危険な悲鳴を上げるフィーナ。
　齧られた耳たぶのクランベリーが鮮やかだ。
　丁度シロップにまみれたように、きらきらと輝いている。

　羽生碧南は笑顔を向けた。

　ねむるの策に気づき、碧南はフィーナと道を庇った。
　背の大部分は抉られてしまったものの、かろうじて彼女は生きていた。

　感謝の意を述べるふたりに、いいのいいのとあっけらかんと笑った後、こう言い放ったのだ。

「二人を食べてみたい」

　フィーナの逡巡は、一様のものではなかった。
　彼女の果実は、耳元のクランベリー。
　実は気丈な彼女、耳が弱かった。
　歯を立てられたり、齧られるのは、勘弁してほしい……。

　それでも、許したのは、彼女の真心であったろう。

　結構、大胆に食べられた。
　ハードに行かれた。

　何か、大いなる喪失感を抱え、さめざめと泣くフィーナ。
　満足そうな碧南に、キュアバナナを与える道。
　その傍らには、本田誠也が座っていた。

『フルーツフレンド』の一同は、名を知られるようになっていた。
　柿パンチの五月、ブドブドアタックの武道、攻撃の力は侮れない。
　負傷しているとはいえ、碧南の急襲もマークが必要。
　無尽蔵でないとはいえ、道のキュアバナナで回復も可能。
　みんなおいしく果物を食べ、戦意も高い。

　誠也の目的は「全部を少しづつ食べること」。
　単独行動よりも、チームの方がリスクは少ない。
　また、トリックプレイの冴えに似合わぬ、朴訥で不器用な様子が、優芽や武道の信頼を得た。