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- 学年：職業
- 00月00日生 00歳
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もぎたて☆フレッシュ！ ～どんぐり農園の愉快な果物狩り～
椿 美咲紀は、ご機嫌であった。
ラ・フランスの能力は悪くない。フリフリのプリンセスドレスはお気に入りだし、ひそかなコンプレックスも克服された。
このまま、常勝街道を突っ走るのも悪くない。
森を抜け、まばらな灌木を通り、窪地のような場所にでる。
すると……。
－－あ、女王様だ。
－－女王様だよー。
かわいらしい声が、足元から聞こえる。
屈んでみると、そこにはたくさんのドングリの精。
「美咲紀か？」
聞き覚えのある声に顔をあげると、そこにはやはりあの顔。
「シューちゃん、ですです！」
●
修が腹部をみせると、どんぐりたちから喝さいが起きる。
「鎧みたいだろ？」修が笑う。
――果物って何か、わかるかい？
一同がバトルに興じている時、修はひたすらドングリと戯れていた。
修のろっこん『分解』は、単純に言えば圧倒的にバトル向きである。
命あるものには聞かないが、樹から別れた枝には効いた。
果物は生命であるが、効果のほどは期待できるかもしれない。
うまく使えば、労せず勝利を獲得できる。
だが、今日の修はそんな気分ではなかった。
目を覚ますと、沢山のどんぐりの精が修のまわりに寄って、じゃれついたり、顔を撫でたりしていた。
彼らと遊ぶというのは、悪い選択ではなかった。
甘くて、美味しくて……。
修の問いに、どんぐりは必死に考える。
ニッコリ笑って、半分正解だと言う。
――胚珠と呼ばれる部分が種子になり、その周囲の子房が果肉となる。
この構造を備えていれば、果物なんだよ。
「つまり、君たちも秋の果物なんだ」
首をかしげるどんぐりたち。
「でも、僕たち、甘くないよ。食べてもおいしくないって言われるし」
「辛い果物だってある。食べられないことで、遠くに運搬される。甘さっていうのは、一つの価値観だな」
修はドングリを取り出し、即席のコマをつくる。
「リンゴやミカンは好きかな？」
「好き！」「ミカンきらいー」
「食べる人の好みだもんな。しいて言うなら、みんな一緒だ」
修はぴくりと手を動かす。ドングリのコマが、いくつも回転し、ダンスを踊っているように見えた。
「食べるのに適さない実も、使い道はあるさ」
●
丘陵に囲まれたこの窪地は、水や緑は豊富だが、落石や野生動物の恐怖にさらされている。
修はドングリの精と遊びながら、それらから彼らを守り、自衛の手段を教えていた。
シューちゃんの果物は……と問う美咲紀に、修は掌を開いて見せる。
「マテバシイは、食用にもなるからな」
「どんぐり、ですです！」美咲紀は瞳を輝かせる。
秋空が高く、さわやかな風が吹きわたる。
先ほどの戦場が、ここではウソのようだ。
修は立ち上がり、風に髪を梳かせた。
「キレイになったな、ミサキュウリ」修は笑う。「いや、もともと美人だよ」
ああ、そうだ。美咲紀は思う。
どんな姿になっても、どんな立場になっても、この人にとって、私はミサキュウリなんだ。
彼女は笑った。そのことが嬉しかった。
●
背後から、パラパラと音がした。
修は舌打ちをして、腹部をまくり上げる。
そこには、編み込まれたセーターのようなドングリ。
ろっこんの発動も準備しつつ、修は構える。
拳大の岩塊、そして石つぶてがいくつか。
修は危険なものを砕き、その破片をドングリ炸裂弾で押しやる。
小さな破片とはいえ、ドングリの精にとっては巨大な岩。
すこし当たっただけで、どんな傷を追うかわからない。
ドングリ炸裂弾を使っての安全処理。
全弾を打ち尽くし、修は美咲紀とドングリを守る。
その時！
「暴れイボイノシシだ！」
「暴れイボイノシシがでたぞ！」
崖の向こうから、暴れイボイノシシが突進してきた！
修は唇を噛む。椿は気づく。彼の腹部にあったドングリは、先ほどの岩で全弾打ち尽くしてしまった。
それでも修は、椿とドングリの精を庇うように、前へ進み出る。右手でぐっと胸元を抑えながら。
憤怒の目を向けて、修に突撃するイボイノシシ！
その瞬間、椿が右手を高々と上げた。
まばゆいエメラルドの光があたりを照らし出す。
ラ・フランスのお椿の技ーーテンプテーション。
だが、椿は唇に笑みを浮かべる。
一際強い光が、波紋のように空間に広がり、そして椿の手のには一本の煌めくダガーが握られていた！
テンプテーションの力を、小刀型に凝集させ、相手に直撃させる。
射撃部の彼女。弾道計算は精確。
爆轟と光の奔流が、世界を灼く。
誘惑のダガーは、過たずイノシシの眉間に着弾し、イノシシはその場で昏倒する。
恐るべき意思はく奪の力。
気絶するくらい、悩ましい！
胡瓜型の、ラ・フランス・テンプテーション。
モード・キューカンバとでも言うべきか。
茫然とするドングリの精たちに、椿は笑いかける。
驕慢さ、子供らしさはそこにはない。誇り高く、慈愛にみちた女王の姿がそこにはあった。
椿 美咲紀。ラ・フランスの転生戦士であり、濃艶な芳香を武器にする、果物の女王。
そして、ガーデニング大好き、家庭菜園が趣味の少女。
溢れる植物愛。
改めて、果物を食い尽くす決意を燃やす。
ラ・フランスの能力は悪くない。フリフリのプリンセスドレスはお気に入りだし、ひそかなコンプレックスも克服された。
このまま、常勝街道を突っ走るのも悪くない。
森を抜け、まばらな灌木を通り、窪地のような場所にでる。
すると……。
－－あ、女王様だ。
－－女王様だよー。
かわいらしい声が、足元から聞こえる。
屈んでみると、そこにはたくさんのドングリの精。
「美咲紀か？」
聞き覚えのある声に顔をあげると、そこにはやはりあの顔。
「シューちゃん、ですです！」
●
修が腹部をみせると、どんぐりたちから喝さいが起きる。
「鎧みたいだろ？」修が笑う。
――果物って何か、わかるかい？
一同がバトルに興じている時、修はひたすらドングリと戯れていた。
修のろっこん『分解』は、単純に言えば圧倒的にバトル向きである。
命あるものには聞かないが、樹から別れた枝には効いた。
果物は生命であるが、効果のほどは期待できるかもしれない。
うまく使えば、労せず勝利を獲得できる。
だが、今日の修はそんな気分ではなかった。
目を覚ますと、沢山のどんぐりの精が修のまわりに寄って、じゃれついたり、顔を撫でたりしていた。
彼らと遊ぶというのは、悪い選択ではなかった。
甘くて、美味しくて……。
修の問いに、どんぐりは必死に考える。
ニッコリ笑って、半分正解だと言う。
――胚珠と呼ばれる部分が種子になり、その周囲の子房が果肉となる。
この構造を備えていれば、果物なんだよ。
「つまり、君たちも秋の果物なんだ」
首をかしげるどんぐりたち。
「でも、僕たち、甘くないよ。食べてもおいしくないって言われるし」
「辛い果物だってある。食べられないことで、遠くに運搬される。甘さっていうのは、一つの価値観だな」
修はドングリを取り出し、即席のコマをつくる。
「リンゴやミカンは好きかな？」
「好き！」「ミカンきらいー」
「食べる人の好みだもんな。しいて言うなら、みんな一緒だ」
修はぴくりと手を動かす。ドングリのコマが、いくつも回転し、ダンスを踊っているように見えた。
「食べるのに適さない実も、使い道はあるさ」
●
丘陵に囲まれたこの窪地は、水や緑は豊富だが、落石や野生動物の恐怖にさらされている。
修はドングリの精と遊びながら、それらから彼らを守り、自衛の手段を教えていた。
シューちゃんの果物は……と問う美咲紀に、修は掌を開いて見せる。
「マテバシイは、食用にもなるからな」
「どんぐり、ですです！」美咲紀は瞳を輝かせる。
秋空が高く、さわやかな風が吹きわたる。
先ほどの戦場が、ここではウソのようだ。
修は立ち上がり、風に髪を梳かせた。
「キレイになったな、ミサキュウリ」修は笑う。「いや、もともと美人だよ」
ああ、そうだ。美咲紀は思う。
どんな姿になっても、どんな立場になっても、この人にとって、私はミサキュウリなんだ。
彼女は笑った。そのことが嬉しかった。
●
背後から、パラパラと音がした。
修は舌打ちをして、腹部をまくり上げる。
そこには、編み込まれたセーターのようなドングリ。
ろっこんの発動も準備しつつ、修は構える。
拳大の岩塊、そして石つぶてがいくつか。
修は危険なものを砕き、その破片をドングリ炸裂弾で押しやる。
小さな破片とはいえ、ドングリの精にとっては巨大な岩。
すこし当たっただけで、どんな傷を追うかわからない。
ドングリ炸裂弾を使っての安全処理。
全弾を打ち尽くし、修は美咲紀とドングリを守る。
その時！
「暴れイボイノシシだ！」
「暴れイボイノシシがでたぞ！」
崖の向こうから、暴れイボイノシシが突進してきた！
修は唇を噛む。椿は気づく。彼の腹部にあったドングリは、先ほどの岩で全弾打ち尽くしてしまった。
それでも修は、椿とドングリの精を庇うように、前へ進み出る。右手でぐっと胸元を抑えながら。
憤怒の目を向けて、修に突撃するイボイノシシ！
その瞬間、椿が右手を高々と上げた。
まばゆいエメラルドの光があたりを照らし出す。
ラ・フランスのお椿の技ーーテンプテーション。
だが、椿は唇に笑みを浮かべる。
一際強い光が、波紋のように空間に広がり、そして椿の手のには一本の煌めくダガーが握られていた！
テンプテーションの力を、小刀型に凝集させ、相手に直撃させる。
射撃部の彼女。弾道計算は精確。
爆轟と光の奔流が、世界を灼く。
誘惑のダガーは、過たずイノシシの眉間に着弾し、イノシシはその場で昏倒する。
恐るべき意思はく奪の力。
気絶するくらい、悩ましい！
胡瓜型の、ラ・フランス・テンプテーション。
モード・キューカンバとでも言うべきか。
茫然とするドングリの精たちに、椿は笑いかける。
驕慢さ、子供らしさはそこにはない。誇り高く、慈愛にみちた女王の姿がそこにはあった。
椿 美咲紀。ラ・フランスの転生戦士であり、濃艶な芳香を武器にする、果物の女王。
そして、ガーデニング大好き、家庭菜園が趣味の少女。
溢れる植物愛。
改めて、果物を食い尽くす決意を燃やす。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2015年05月19日
- 参加申し込みの期限
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- 2015年05月26日 11時00分
- アクション投稿の期限
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- 2015年05月26日 11時00分
