もぎたて☆フレッシュ！　～どんぐり農園の愉快な果物狩り～｜リアクション

もぎたて☆フレッシュ！　～どんぐり農園の愉快な果物狩り～

　戦場に、しばし静寂が訪れた。

　ふわりふわりと訪れるのは、薄野五月。
　彼女は、不満だった。
　せっかく自分を食べる相手を探しているのに、誰もいない。
　この場も、先ほどまで戦場であった形跡があるのに、今は人の気配もない。

　不満げに、五月は橡の樹にどかっとパンチを繰り出す。

　ひゅーん。何か大きなものが落ちてきた。
　樹上で、じっと息を殺していた、日暮ねむるだった。

　全身を痙攣させ、何事かをうめいている。
　再起には、まだしばらく時間がかかりそうだ。

　その傍らには、気絶したままのフィーナ。
　五月は彼女に見覚えがあった。店を訪れた時と同じ、シルバーの上品な服装である。
　ただ一つ、耳元に血の色をしたルビーのようなピアス。

　いや違う。
　クランベリーだ。

　五月は、二人をじっと見る。今のうちに一口失敬してもよさそうだが、いまは自分の正体を見極めるのが先決。
　甘柿か、渋柿か。

　その時、自分を呼ぶ声がした。

「あ、薄野さん！　先日は、美味しいお蕎麦をありがとうございました！」