もぎたて☆フレッシュ！　～どんぐり農園の愉快な果物狩り～｜リアクション

もぎたて☆フレッシュ！　～どんぐり農園の愉快な果物狩り～

　光と影の行き交う、柱廊のような椚林の中。
　女神のように厳かに往くのは真境名アリサ。
　その胸部の張り出しはいつもにまして豊か。
　悩ましい稜線が、やわらかに弾む。
　唇の笑みは嫣然と、獲物を探す。

　メロン模様のセクシーな水着は、この場にそぐわない。
　だが夜の店では、このようないでたちは、珍しくない。
　濃密なメロンの方向は、嗅ぐものの脳を直撃し、懊悩を誘った。

（うわ……なにこれ）目覚めたアリサは、肉体の変化に驚愕した。
（あたしの胸、メロンそのものじゃないの！）

　ドングリ農園に果物狩りに来ていたはずが、いつの間にか果物になっていた。
　しかも、衣装もセクシーなメロン柄水着になっている。

　普通の女性なら羞恥と困惑に思考停止するところだが、彼女は違った。
　こんなのは仕事の服と変わらない。それに、自分の美しさをよく心得、誇りにしている。
　何も迷うことはない。いつもどおり。
　あっけらかんとした、明るい彼女。

（とはいえ、衣装がアレなのはちとアレな気がしないでもないけど）

　鼻歌を歌いながら、頭の片隅でちらりと考える。
（ま、気にしない♪）
　どうせろっこんやらなにやらが発動した時点でアレなのだ。
　ちょうど果物に変身したからか、果物が食べたい気分でもある。
　散策がてら、捕食の開始といくのも、いいかもしれない。

　－－その様子を、木陰から覗くのは、東海道。
　小学生ではあるが、その頭部には立派なバナナが生えていた。

（バナナが一番美味しいに、決まってるじゃない……）