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【ハロウィン】猫恋、穴場デートスポット?
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(猫神様、どうか早川珪先生に想いを届けて下さい)
南京錠をかけ終えた綾花は、その鍵に触れながら目を閉じ、心の中で願う。イニシャルという形でも、自分の名前と好きな人の名前が隣通しになるのは気恥ずかしい。
珪の笑顔、仕事を頑張ったと褒める声、触れそうな指――鍵へ想いを込めるように思い出せば、顔が熱くなってくる。けれど、これは願望じゃない、自分の目と耳で感じたことだ。そしてそれが、当たり前になれば良いのにと思う。
(頼るばかりじゃなくて私も頑張らなくちゃ!)
よし、と気合を入れて柵から離れれば、鐘の音が聞こえる。幸せな二人が鳴らしているのかと思うと、いつかその場所へ行ってみたい。もちろん、二人で。
中々冷めてくれない熱を落ち着かせるように、海風にあたろうと海を一望出来るベンチへと向かう。そこには先客がいたようで、猫が丸まって欠伸をしていた。
「キミは猫神様知ってる?」
猫メモに出会った日付と場所、特徴を書いていると、猫は耳を震わせてじっと綾花を見つめる。
「神様っていうくらいだから、七福神に扮した猫ちゃんたちかな」
そう言いながらページを捲るのは、以前珪が「借りるね」と言って書き込んだ委員会の仕事に関すること。何でもない事だけれど、その文字さえ愛おしい。
「五頭を持つ悪さをしていた猫、らしいから意外と怖い猫かもしれないね?」
「……珪先生っ!?」
聞き間違える筈もなく振り向けば、微笑んでいる珪が立っている。綾花の大きな声に驚いた猫はベンチから降り、静かな場所を求めて走り去ってしまった。
「これは悪いことをしたかな、インタビュー中だったんだろう?」
「いえ、あの……そ、そういえば先生は何の用事でここまで?」
恥ずかしい独り言を聞かれてしまった。慌てて話題転換をすれば、珪は苦笑しながら隣に腰掛ける。と言っても、同じように海を見るのではなく逆を向いて海側の縁に手をかけているのだが。
「用事か。まあここはデートスポットのようだからね?」
その言葉に、胸が痛む。誰かと待ち合わせしているのだろうか、それとも見送った帰りなのか。とてもじゃないが、笑顔で尋ねる勇気はない。
「いやぁ、見回りとはいえ一人でくるものではないね。ここは女性に任せた方が良さそうだ」
「……見回り?」
「長期休みなんかは、羽目を外す学生が多いから職員で繁華街を見まわることが多いけど、今もイベント時期だろう? 自主的に学生が興味を持ちそうな所を見て回ろうって話がきてね」
「そうだったんですね、お疲れ様です」
胸をなでおろし、笑顔で返事ができて良かった。もし恋愛絡みで来たと言われたら、取り乱してしまっただろう。けれど、珪が初めて来たとは限らないし、見回りのついでにデートの下見……とも考えられなくはない。
(頑張るって決めたんだ……!)
「あのっ! お仕事の休憩に、喫茶店へ行きませんか?」
「え?」
言った。言ってしまった。珪と目がかち合う。とても驚いた顔をしているのは、誘った事なのか隠せてない赤い顔なのか。僅かかもしれない沈黙が、長く感じる。
「そういや、ハロウィンのメニューをやってたね、一人じゃ入りづらかったのかい?」
「あ、その……はい」
「実は僕もだ。それじゃあ行ってみようか」
それは、引率の先生のように。面倒見の良い兄のように。残念なようで、けれど結果的に同席できる事にドキドキし過ぎて調度良かったのかもしれない。
(……頑張るって、大変だな)
ちょっとの事で赤くなって、緊張して。それでも、踏み出したこの一歩は大きい。
――先生と生徒だなんて関係ない、私は珪先生が、
早川 珪
という人が好きです。
今は誰にも口に出来ない想いだけれど、これだけは確かだ。その気持ちを再確認し、綾花は珪と二人で喫茶店を目指した。
人の少ない丘は、所々にあるベンチも当然空いていた。時折思い出したように鐘の音が聞こえる場所の中で、刀は話す内容が内容のため奥まった所を選び、そこが筆談する海にも好都合だろうと判断した。もっとも、スケッチブックを覗きこもうなどという無粋な人間が居たところで気配は察知できるだろうが、最大限の配慮をしようと何度もシミュレートしてきた。
「その、話っていうのは……この丘の伝説とか、鐘の意味を調べた上で言っておきたいことがあって」
海は静かに頷き、いつでも返事が出来るようスケッチブックを構える。その仕草を脳裏に焼き付けようと思うように見てしまって、刀は頭を振る。
「もう俺には関わるな、これ以上の深みは小山内が傷付くだけだ」
鈍感な自分が、ようやく気づいた相手の気持ち。それが何の変哲もない学生生活の中で向けられた物なら、なんて答えていただろう。そんな事は考えるだけ無駄だと知っている、自分はそんな日が来るために選ぶ道を決めたのだ。だから柄にもなく、色々と考えを巡らせてきた……これが、ゆっくりと話せる最後になるかもしれないから。
『わからない』
「あ……そうだな、結論だけ先に言っても分からないか。話は小山内が大怪我した時に戻るんだけど――」
病院で回復を待つしか出来なかったあの時。目の前が赤くなり、あまりの怒りに頭痛がして、それは暫く治まることはなかった。嫌いな人間には決して持ち合わせることのない感情だ、そして忘れることは決してない、必要なものだと内側から告げている。
「小山内が、俺をどう思ってくれてるのか……わかったから、そうして欲しい。もし今の俺が、女性を異性と意識して向けるものがあるとしたら、それは男としてではなく雄として……人ではなく、獣としての好意ではない欲求だ」
これは、今は恋愛する気になれない、という事なのだろうか。それとも振られているのだろうか。
わざわざこんな所に呼び出して、丘の伝説を知ったから関わるななど、破綻しているにもほどがある。海はペンを強く握りしめて、続きがないか窺うような視線を向ける。
「だから――小山内が望んでいるような、祝福の鐘を鳴らす事は……ない。南京錠が互いをつなぐ事も無い。小山内の気持ちも考えず、ただ自分の欲求を満たすために小山内自身を貪り尽くすだけだ」
何を思って、刀が己を最低な人間のように話しているのかわからない。寧ろ、この様子の彼が本当に自分の望みを理解してくれているのかも疑問だ。
確かに刀への好意は嘘じゃない、出来れば鐘も鳴らしてみたい。けれど、それだけじゃないんだと気づいたのは、同じく彼の言う事件で意識が薄れた瞬間と、病院で意識を取り戻した時。
「お前可愛いからさ、普通の男だったら誰だって付き合いたいって思うよ」
(何、を言っているの……?)
前髪で隠れた傷跡を、優しく撫でられ思考が止まる。何と言えば伝わるのだろう。
「お前を傷付けたものは俺が討つよ。刀を振るい脅威を討ち、剣を以て大切なものを守る。……それが剣術だから」
(守る? ……傷つけたものから?)
前髪が整えられ、微笑まれた顔が憎らしい。思わず海はペンを持ち替えて大きく手を振り上げた。
――パンッ!!
静かな空間に、乾いた音が響く。打たれた頬も痛いだろうが、打った手のひらも熱く、両者に沈黙が訪れた。刀は現実味がなく打たれた頬に手をあて、海はなんとも言い表せない怒りで打った手を握りしめ、それで涙がこぼれ落ちるより前に目元を拭ってペンを持ち替えた。
『でんせつの、いみ、しらべたんだよね!? なんでそんな』
後半には何度か書いては消した跡。見せては一泊置いてまた書かなければならない事が、こんなにももどかしいと思うなんて。声が出れば、迷いなく言い切れるのに。震える指はいつものようにスラスラと字が書けず、書いては伝わらないかと躊躇って消す。
(これじゃダメ……!)
一思いに読み返さず書いて、一度で読んでもらおう。刀を睨み上げ、言いたい事をスケッチブックに書き殴る。その間、刀はその剣幕に圧倒されつつも、決めてきた覚悟に揺らがない自分を客観的に見ていた。
(伝説の意味を知ったから、自分から離れて幸せにって……なんでそれがわからないんだ?)
『ページある。よんで』
明らかに不機嫌なまま差し出されたスケッチブック。そこには今まで静かに聞いていた海からは感じ取れなかった怒りがありありと綴られていて、それは予想の範疇を超えていた。
確かに、自分に好意がある相手に対して他の男を薦めたのは侮辱に値するだろう。これは自分が悪い。
(気持ちに対する答えは急いでない、今は恋愛感情が持てなくてもいい、他の人が好きでも……欲求を満たすだけでも、いい?)
ページを捲ろうとした手が止まる。自分の知っている彼女は、こんな事を口走るようなタイプではない。あれ以外の明確な表現が見つからず口にしてしまったが、売り言葉に買い言葉となってしまったのだろうか。
(一番傷つくこと……それは俺に関わってあんな怪我を)
海が伝えたかった傷は、そんな表面的な物ではなかった。友達でも、恋人でも、振った振られたの関係でも。どんな関係であったとしても繋がりが全部断ち切られることに心が痛むという絆の話。死んでしまえば、二度と会えなくなる事がどれほど辛いかと、どこよりも震えた字で書かれている。
(傷つけてるのは俺、か。討つも守るも筋違い……確かに)
『わたしのしってるかたなくんは、そんなこといわないよ』
最後に締めくくられた言葉。もう、自分は変わってしまっているのだろうか「フツウの少年」であり続けるために。
「怒るところは、そこなんだ」
読み終わり、口から零れ落ちた言葉。隣では怒りとも悲しみとも言えない瞳で、じっと返答を待っていた海が訝しげに眉根を寄せる。自分は的外れな事など言ってない、そう言いたげな瞳から目を逸らさず、刀は真新しいページに捲り変えたスケッチブックを左手に持ち離さない。
「小山内は、どんな形でも良いから俺との絆が欲しいって、繋がりが欲しいっていうのか?」
わかってくれた。そう心底安心した顔で頷かれ、刀は衝動的に胸元で震わせていた海の細い手首を右手で掴み引き寄せた。
「…………っ!?」
バサリと、スケッチブックが刀の手から落ちる音がしたかと思えばその手は力強く海の腰を抱く。それだけで小柄な海はやや仰け反って刀に覆いかぶさられるような体勢となり、突然のことに自然と心拍数が上がってしまうのは止められない。だが――
「……なら、くれてやるよ」
(なに、を……?)
顔が見えない。低い囁きによってもたらされた背筋を滑る感覚が何を伝えているのかもわからない。ただ海は、自分の意図が伝わっていなかったかもしれないと漠然と思うだけだ。
声も発せられない、刀の意図がわからないままでは強く跳ね除ける事だってできない。大好きなのだと痛感させられて、自由な手を彼の背中に回してしまう。
「――……っ! っ、…………?!」
ずっと首筋をくすぐっていた鼻先、熱く湿った吐息。それが手を回した途端に痛みへと変わる。宣言された通り、海は刀に捕食されてしまったのだ――噛み痕という、所有の証を刻まれるように。
海の痛みを堪えるような、歯を食いしばるような吐息が漏れ聞こえる。そんな至近距離で、刀はゆっくり唇を離し鬱血した後を確認するように舌先でなぞり、そのまま彼女の喉の傷へと滑らせる。緩やかに生温かい物が身体を這う感覚が初めてなのだろう、海の呼吸は浅く、震えていた。
「これで繋がったな」
(なんで、これ……が?)
「これは、俺だけが付けられる印。小山内と俺が繋がっている証だ」
(ちがう……違うの、そういうことが、言いたいんじゃなく、て)
伝えなくては。
目を見ればきっと、わかってくれる。それからスケッチブックを拾って、それから……それから?
(あれ、でも、私……)
――欲求を満たすだけでもいい。
そんな事を書いたと思い出し、この状況に何を反論すると言うのだろう。
「大丈夫だ、お前が望む通り繋がりは消えない……痕が消えそうになったら、つけ直してやるから」
(これっきりじゃないんだ……刀くんが生きているって、確認していいんだ)
力なく手が滑り落ちないように、刀の服の裾を握りしめる。彼を思うのであれば間違ってると、そう伝えたかったはずなのに。
(刀くんだけが付けられる、二人の印。私だけの特別な秘密……)
例えばこれが、選択の過ちだったとしても。
「その時は、いつでも俺の所へ来い」
自分の知っている刀じゃなかったとしても。
(いつでも……? それならすぐに消えてしまえばいいのに。そうすれば刀くんとずっと一緒にいられるのに)
……もう、知ってしまった体温を手放したくなんてない。
耳をくすぐる時の特別な声音、怪我とは違う痛み、触れられたそばから肌が粟立つ感覚。その全てで侵食されて、海は刀の命に素直に頷いていた。
(……これで、小山内は悲しまずに済むのか。傷つく、ことも)
少し上体を起こして、無理のあった体勢から自分へもたれかかるように背を撫でる。そうすれば肩口に置かれた額が擦り付けられるよう甘えてくるので頭を軽く撫で、呼気が落ち着くよう、慈しむように背を撫でる。
傍から見れば、幸せそうな恋人たち。誰かを祝福する鐘が鳴り、柔らかに空気へ溶けこんでいく。
見目にはわからない繋がり。交差することが見えない闇の先。……綻びは、現れるのだろうか。
心か、利害か、本能か――取り合った手の先で握りしめたと確実に言えるのは、そう――自身の安寧。
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担当ゲームマスター
浅野 悠希
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
日常
恋愛
神話・伝説
定員
15人
参加キャラクター数
16人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年05月13日
参加申し込みの期限
2015年05月20日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年05月20日 11時00分
参加キャラクター一覧
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