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【ハロウィン】猫恋、穴場デートスポット?
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榛宮 智
の提案で、
伊勢 エリカ
はこの丘にある喫茶店に訪れた。
なんでも落ち着いた雰囲気で読書に丁度良く、先日訪れた際にはハロウィンメニューの予告をしてたから、きっと先輩も気に入るだろうと。
「……ほう。確かに静かで落ち着いていて、いい所だな」
「良かった、先輩に気に入ってもらえて。……あ、見晴らしの良い席が空いてるみたいですよ」
ハロウィンメニューを取り扱っているとは言え、街の喧騒から離れたこの場所は今日も穏やかな雰囲気だ。これなら先輩とゆっくり話が出来ると思うと、智は少しくすぐったい気分だった。
同好会で顔を合わせるし、合間に雑談も出来る。けれど、憧れの先輩が自分の好きな場所に興味を持ち、かつ「同好会の皆で」とならず二人で来れるのはちょっとした優越感もあるだろう。
「こうして内装を見てみると、すっかりハロウィン一色になってきたな」
「街の方は凄いことになってそうですけど……あっ! 先輩は賑やかな方が好きだったりしますか?」
エリカから行ってみたいと言った事を忘れているのか、それとも同好会での空気を悪くしない為に休日の時間を費やすとでも思っているのか。
成長が気になる後輩ではあるが、少々気弱なところが難点だな……そんな微苦笑を浮かべ、窓辺に並ぶカウンター席についたエリカはメニューに手を伸ばす。
「まあ、賑わっている場も好きだが、こうやって落ち着いている場も好きだな。でなければ来ないだろう」
「そ、そうですよね……良かったぁ」
へにゃりと顔を緩ませて、胸を撫で下ろす智にはもう少し自信をもってもらいたい。折角良い演奏をするのに、これでは何事も損をしてしまいそうだ。そんな心配は一時頭の隅にやり、視線は手元へと落とされた。
表に飾ってあったメニューを少し眺めていたが、改めてハロウィンメニューを見れば興味をそそられる。定番のカボチャを扱った物だけでもムースにケーキ、タルトにプリン。それからパイにクッキーと多岐にわたり、キッシュやスープなど軽食まである。その上ジュースにまでなっているのだから驚きだ。
「落ち着いた場所だと聞いていたから、まさかここまで充実しているとは思わなかったな」
「そうですね、僕も予告を少し見ただけでしたから、びっくりしました」
隣でエリカの広げるメニューを覗きこむ智も、キラキラとした瞳で品々を追っているのだろう。弾んだ声に、メニューは決まったかと声をかける為に仰いだ視線の先、予想以上に近かった後輩の顔に一瞬息を呑む。
「? 先輩どうし……っ!? わぁああっ、すみません!」
慌てて後ずさろうとするが、椅子の支柱は床に固定されており、回転する座面だけが無闇に揺れる。智は振り落とされそうになるのを耐えてテーブルにしがみつき、肩で大きく安堵の息を吐いた。幸い近くに他の客がいなかったため、周囲にそれほど大きな迷惑はかからなかったようだ。
「大丈夫か?」
「だ、だいじょうぶです……」
恥ずかしい、どうしよう。そんな思いでいっぱいの智の前に、メニューが差し出される。
「驚かせたようで悪かったな。私は注文を決めたから、ゆっくり見てくれ」
見づらかったのだろう? と申し訳なさそうに言われ、首を大きく横にふる。未だにばくばくと煩い心臓は、失敗してしまった恥ずかしさからか、落ちそうになった恐怖からか、それとも――。
「あの、お客様? 何かトラブルでも」
「いや、騒がしくしてすまない。注文をお願いしたいのだが」
「す、すすみません! えっと、僕も注文を……」
体勢と息を整え、やっとの思いで注文を終えて店員を見送る。エリカは先程の接近も大騒ぎも何とも思っている節はなく、智は改めてきちんと謝るべきか、それともこれ以上墓穴を掘ることがないよう話題転換するべきかと落ち着きなく景色とエリカを交互に見遣る。
そんな中、エリカはこの店を訪れる発端となった会話を思い出した。
「そういえば、榛宮はここでよく読書をすると言っていたな。どんな物を読むんだ?」
「ふぇっ!? え、えーと……ファンタジー物の本が好きなんです。外国文学って面白くてつい夢中になっちゃって」
「ふむ、外国文学か」
「はい、本だけでなく映画もファンタジー物が好きで……あ、今読んでるのも映画化が予定されていて――」
花が咲いたようだ、というのを青年に向けて使って良いのかどうか。おどおどした様子から一変して朗らかに話しだす智にエリカも小さく笑みを浮かべて相槌を返す。沢山の本を読んできたのだろう、聞き覚えのあるタイトルを引き合いに好きなストーリーや特に感情移入してしまった登場人物などの話に飽きる事はなく、気づけば注文の品が運ばれてきた。
「え、あ! すみません、僕一人で話しすぎちゃって……」
「なに、気にするな。随分と榛宮が面白そうに話すから、今度私も読んでみようかと思った所だ」
「本当ですかっ!?」
ごゆっくり、という店員が微笑ましく二人を見て去っていく姿を見、エリカは周囲の客層に「なるほど」と何かを納得したようにティーカップへ手を伸ばす。
「折角運ばれてきたんだ、本の話も程々にして、いただこうじゃないか」
エリカの前にはころんとしたジャック・オ・ランタン型のパンプキンケーキが、智の前にはカボチャのプリンとムースが二層になったパンプキンタルトが置かれている。
光沢のあるゼリーでコーティングされたケーキの表面には、パンプキンムースに軽く溝を引いた上に薄いミルクチョコレートで顔を貼り付けてあり、フォークでそっと切り込みを入れれば、ほくほくしたカボチャと生クリームの層とパンプキンシードとレーズンの入ったパンプキンクリームの層が、ふんわりとしたスポンジによって重ねられている。クリームを馴染ませるためにスポンジへ軽く塗られたシロップはくどい甘さもなく、重めな印象ながらも次の一口に自然と手が伸びるような後味だ。セットで頼んだ紅茶も店のオリジナルブレンドらしく、扱うクリームの濃さを理解している程よい渋みが心地よい。
「なるほど、これならば休息の時間に訪れたいと思うのも無理はないな」
「はい! この味でこの空間が凄く気に入っていて。たまに曲のアレンジなんかも思いついてメモをとったりもするんです」
「ほう。榛宮は曲のアレンジも出来るのか」
タルトを口に運んでいた智は、つい口を滑らすように言ってしまった趣味を、後悔はしないものの返答に戸惑った。憧れている先輩に胸を張って言える事ではないかもしれないが、いつものように慌てたりせず、裏返りそうになる声を飲み込んで照れながらも正直に話した。
「趣味で主題歌のスカ風アレンジや、クラシック風アレンジすることもあるんですけど……」
「それは凄いな。それなら同好会で披露してくれれば良いものを」
「えへへ、大したものじゃないですよ?」
「そう謙遜するな。趣味としてでも打ち込める物があるなら恥じることはない、もっと自信を持て」
いつも堂々とした立ち居振る舞いをするエリカは、自分と真逆の存在のように感じる。だからこそ憧れも強いのかもしれないが、その輝きがいつもと違って見える気がするのは、こうして二人で話しているからなのか、智にはわからない。
エリカにとってはなんてことない言葉なのかもしれない。けれど智にとっては自分を認めてもらったかのような言葉だ。嬉しくて、恥ずかしくて、ただ大きく「はい!」と答える他無かった。
よし、と満足そうな笑みを浮かべてティーカップに口を付ける。その仕草に見惚れそうになるのを抑えつつ、次の話題を模索する。
まだ演奏を聞いてもらってもいないままアドバイスを貰うこともできないし、エリカの日常を聞くのも憚れると思ったからだ。
「えっと、あの……よければ僕の、ちょっと食べてみますか?」
「いいのか? 実はメニューが沢山あって迷っていたんだ」
智の皿を受け取り、自分の皿を彼へ渡し交換をする。そうしてお互いに一口ずつ味わったところで、エリカは言うタイミングを見計らっていた言葉を口にした。
「こうしていると、まるで私たちも恋人になったようだな」
「こい……っ!? ちょっと待ってくださいよ先輩! いきなりなんてこと――」
笑っているエリカに動揺して、智は周囲の様子を窺う。そういえば、レジで会計を待っているのもテイクアウトの品で迷っているのも、心なしか仲の良い恋人たちが多いような気もする。席の仕切りは磨りガラスになっているが、映る影や歓談の声から察するに同じく恋人同士なのだろう。いつもは読書に没頭して気付かなかったが……ここはまさか?
「知らないか? この近くに恋愛の神様だったか……とにかく、恋愛の類に関する名所があるようでな。ここは絶好のデートスポットらしいぞ」
「そっ、え、えぇえええ!?」
「クラスで小耳に挟んだだけだったのだが……まさか榛宮に誘われるとはな。中々に面白い場所じゃないか」
もはや言葉も出ないのだろう。目を逸らした智だが、顔が随分と赤い事は隠せていない。
「ふふっ。なに、冗談だ。すまなかったな、気にするな」
本当に、表情豊かで面白い後輩だ。そう思いながらケーキの皿を取り替えて、何事も無かったかの様に食べ進める。そんな様子を見て智は大きく息を吐いた。
「先輩……驚かせないでくださいよぉ」
安心した、はずなのに。どこか息苦しいと思ってしまうのは何故だろう。
その答えが酷く残念なような、もっと何かを、別の答えを……言われたら、どうしただろう?
「なんだ、食べないのか?」
「ふえっ? た、食べますよ、食べます!」
先輩が驚かすから、なんて軽口を言われなくても、その顔を見ればよくわかる。ちょっとした冗談のつもりが、智にとってはそうではなかったらしく、あんなに慌てられるとは思っていなかったので、さすがに申し訳なくなった。けれど、心のなかの笑いは止まらない。
(あ、あれ……? 先輩は冗談だって言ったのに、なんで、こんな……)
内側から強く叩かれる様な鼓動が痛くて、隣で笑っている顔を見るのが恥ずかしくて。少し勇気を出して「笑いすぎです!」と文句の一つも言ってみようかと思ったのに、手元から顔へと視線を滑らせる途中、口元が見えた辺りで断念してしまい目があわせられない。
(なんでこんな意識しちゃってるんだろ。さっきまで普通に話せてたのに、なんだか変だよ)
――恋人になったようだな。
リフレインする言葉に、思わず喉をつまらせてしまう。咽る智は一息に水を煽り、タルトもその言葉も飲み込んだ。
(えっと……まさか、この感情って……ああもう!)
「落ち着け。特別早く帰る用事があるわけでもないのだろう?」
「それはそう、なんですけど……」
エリカは冗談だと言ったけれど、では実際どう思っているのだろうか。恋人のようだと言うのが場所柄の比喩ならば、何も気にしていない自分の事はただの後輩だろうし、自分が気に入っている場所だから来てくれたのなら……もしかしたら、少しは。
(……なんてことはないよね、平静を装わないと)
こんな気持ちなど初めてで、本人を前に自覚する事になってしまい、余計にどうすればいいかわからない。
「榛宮がよければ、またどこか遊びに行こうか」
「そうですね、またどこか……えっ? い、いいんですか!?」
「なんだ、不服か? それとも、何度も冗談を言うように見えるか」
「いえっ、そんなことは! むしろ、全然逆っていうか、その、あの」
しどろもどろに答える智の気持ちなど露知らず、笑って「そうか」とだけ答えるエリカは涼しい顔で目前に広がる景色を楽しんでいる。丁度今いる席からは、紅葉が始まった丘を見下ろし、遠くには街が霞がかって見える。
前々からエリカは思ってはいたのだが、智には見所がある。また楽曲のアレンジについてなど意外な事が知れるかもしれないし、先ほど聞いたお勧めの本に目を通しておくのも悪くない。そうやって知り得た世界は、きっと自分の音色も豊かにしてくれる。
「……榛宮には感謝しなければな」
聞こえないような小さな声で漏れた言葉。隣ではまだ慌てふためく彼がいる。
(次もって、誘ってくれて凄く嬉しいけど、僕……普通でいられるかな)
今でさえ、上手く会話を繋げることはできないし、この後はどうすればいいのだろう。ゆっくり丘の景色でも楽しむように散策するつもりが、それではまるでデートのようだ。
美味しかったはずのタルトの味が、だんだんとわからなくなる。けれど、次への約束が出来た事は嬉しく、それと緊張とに挟まれるのは幸せな悩みなのだろうなぁと困ったように苦笑した。
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日常
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15人
参加キャラクター数
16人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年05月13日
参加申し込みの期限
2015年05月20日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年05月20日 11時00分
参加キャラクター一覧
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