中学生も中間テストざます！｜リアクション

中学生も中間テストざます！

○テスト開始！

「先生……見てなさいよ、あたしが調子に乗ってないってことを証明してあげる。これがあたしの実力なの！」
　２年４組の篠原翠響は、進路相談で先生に言われたことを少し気にしていました。
　持って生まれた才能と要領の良さでどんなに難易度の高い課題でも一発でスマートにクリアする優等生。
　挫折を知らず、それ故に努力を軽視する翠響を心配しての先生の言葉でしたが、彼女の心には響かなかったようです。
（出来っこないことに全力を尽くすなんて効率悪いじゃない）
　そんな風に思う翠響は今回の試験も必要最低限の予習復習で臨みました。

　その隣では、女子ながら１７０ｃｍの長身の瀧原樹がぼんやり考え込んでいました。
（実際のとこ、テスト前に頑張るって言うのは良くわかんないんだよね、勉強なんていつもやってるしさ、強いて言うなら怖いのは今日の数学くらいかな……覚えらんないところいくつかあったし）

　一時間目の国語は翠響にとって楽勝でした。
　手ごたえも十分で早く解き終えたので時間が余ってしまい、再度チェック。それでも時間が余るので、結局少し居眠りしていました。
　現代文が得意な樹にとっても楽勝だったようです。
（今回もそんな難しくなさそうだし、まぁ無難にこなせそうかなぁ）　

　二時間目は数学。
　翠響はこちらも余裕綽々というか、計算問題などは楽勝です。
（りんごとみかんを買う？　小学生じゃないんだから……）
　問題文を読んで苦笑しながら思います。
（ひっかけ問題とかありそうだったから事前に予習したけど、もしあったとしても引っかからなかったでしょうね）
　しかし。
（え、なにこれ……）
　一次関数の問題が少々難関のようです。

　樹にとっては苦手科目。
（まぁとはいっても、そんな酷い結果にはなんないだろうケド）
　樹は、これからのことに考えを巡らせていました。
（……はぁ、いいのかなぁこんなんで、あいつ（兄）に引っ張られて居心地悪い実家からは逃げられたけど、結局一人でやってける見通しがなきゃ何にもならないよなぁ……）
　色々複雑な事情で実家とは距離をとって生活している樹。兄がいるのですが、彼のことは嫌っていて、シーサイドタウンにマンションを借りて生活しています。
（高校は寝子高でいいけど……あんまりぼんくらじゃあだめだよね、自分で決めなきゃ……あいつの世話にはなりたくないし……ってうっわ！？　もうこんな時間！？　まぁほとんど終わってるけど、一応見直ししなきゃな）
　
　翠響は、すでに答案を仕上げていました。
　しかし手こずったのが、何でも一発でスマートにこなす彼女にしてみれば不満が残ります。
　
　樹のほうはもう少しかかりそうです。
（うーん、終わってない2，3問が気になる、もう少し考えておこう）
　
　
　三時間目は理科。
（こちらも出題範囲と予想がどんぴしゃり！　ま、当然ね）
　数学で少し手こずったのがウソみたいに、翠響はスムーズに答えを埋めていきました。
　

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