【中間テスト】そんなこんなの最終日｜リアクション

【中間テスト】そんなこんなの最終日

　テストが終わると冬華は速やかに学校を後にした。シーサイドタウンのアパートには帰らず、星ヶ丘寮に赴いた。
　無駄のない動きで邸宅の一つに入っていく。
　冬華は使用人に宛がわれた部屋でメイド服に着替えた。程良いフリルが愛らしく、白と青の配色は傍目に清々しい印象を与える。
「清掃の前に雇い主にハーブティーを淹れましょう」
　足音を立てないで調理場に移動した。冬華は乾燥ハーブの調合から始めた。量としてはスプーンで二杯弱。独自のテーマを設ける。
「テストが終わったあとなので、リラックス効果は必要ですね。食前なので整腸作用、それと安眠効果も加えましょう」
　調合したハーブは硝子のティーポットに仕込んだ。ヤカンはすでに仕掛けてある。
　俄かに調理場が活気づいてきた。
「お帰りになられたようですね」
　絶妙なタイミングで湯が沸いてティーポットに注ぎ込む。ガラス越しに色合いを見ながら最高の一杯を目指した。

　淹れ立てのハーブティーを部屋に運び終えたあと、冬華は各部屋の清掃に勤しんだ。手慣れた様子でベッドメイキングを行う。僅かな埃も見逃さない。家事の腕を大いに振るった。
　一通りの仕事をこなし、来た時と同じように制服姿で帰路に就いた。途中で見かけたスーパーに立ち寄って足りない野菜と肉類を補充した。
　アパートに戻ると買い物袋を机に置いて真っ先にベッドに向かう。両腕を広げた状態で仰向けに倒れ込んだ。青い瞳が天井をぼんやりと見やる。
「私も疲れました」
　瞼を閉じた。ふくよかな胸が穏やかに上下する。
「このままでは眠ってしまいそうです」
　起き上がった冬華は買い物袋の中身を冷蔵庫に収めた。
「人参とホウレンソウが余っているので、帰りに購入した特売の鶏肉とジャガイモを加えてグラタンを作りましょう」
　冬華は食器を収めた棚に向かう。端の方に置いてあった底の浅い楕円形の器を選び出した。
「フライパンで具材を炒めて、同時にホワイトクリームも作りましょう。器にバターを塗れば洗い物が楽になりますね」
　一時の疲れが嘘のように冬華は活き活きとした姿で調理に励む。自身の夕飯にも一切の手抜きはなかった。

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