【中間テスト】そんなこんなの最終日｜リアクション

【中間テスト】そんなこんなの最終日

　解答欄は全て文字で埋められた。厳しい表情は変わらず、弓弦原譲は見直しを始めた。
「九十点は固いか」
　全部に目を通して言った。満点を狙うかのように再度の見直しに入る。一度目と同じところで目が留まる。これか、と呟いて瞼を閉じた。深い記憶を掘り起こすような表情となる。
「賭けてみるか」
　修正は加えなかった。自身の記憶に全てを託し、問題を解き終えた。
　表情を和らげた譲は頬杖を突いた。過去の事柄に思いを巡らせる。
　一学期はあっという間に終わった。寝子高で友人が出来て、好きな先輩も出来た。日々の積み重ねで皆が変わっていく中、俺はこのままでいいのだろうか。
　優秀な成績は将来の助けになる。学業を疎かには出来ないが、それだけでは人間的な魅力に乏しい。
　勉強以外で、俺に誇れるものはあるのだろうか――。
　周囲に答えを求めるかのように方々に視線を向ける。八兵衛の欠伸が目に付いた。譲と同様に頬杖を突いていた。
「自然体だな」
　譲は同じ姿勢を取る。無心に近い状態で余った時間を過ごした。