【中間テスト】そんなこんなの最終日｜リアクション

【中間テスト】そんなこんなの最終日

【Ｃ】テスト中（テストの間の休憩時間を含む）
　　　一限：世界史
　さゆるは設問に目をやる。記述式の問題であった。僅かな間を経て解答欄に綺麗な文字を書き込んでいく。模範解答のように文章には一切の無駄がない。選択問題等は瞬時に一つを選び出した。
　かなりの時間を残して鉛筆を置いた。ぼんやりとした表情で俯き、解答用紙を上から順に眺めていく。
　最後まで目を通して表情に変化が表れた。どこか自嘲めいた嗤いが端正な唇を歪ませている。
　――破滅的な生き方をしてるくせに、テストは真面目に受けるのね。学校の成績は良くても頭が悪すぎるよ、さゆるは……。
　自身を胸中で痛め付ける程に嗤いは深く刻まれる。さゆるは下腹部にそっと手を当てた。微かな温もりを探すかのように指を動かす。
「……どこまで頭が悪いのよ」
　その呟きは誰の耳にも入らなかった。
　さゆるは何気なく教壇に目を向けた。担任の桐島義弘が鋭い眼を教室に向けている。間もなく教卓に広げた本へと目を落とした。
　以前に行われた進路相談のことを思い出したのか。さゆるは片方の肩に手を置いて担任を見やる。視線は合うことがなかった。
　さゆるの手は肩から離れて下腹部へと下りていった。