触手ガールの憂鬱｜リアクション

触手ガールの憂鬱

●たこ焼きの呪い

　静かなシーサイドタウンで、穏やかにたこ焼を食べていたクルジッカ・ヘルマゴルは、ふと見た時、自分の右腕がタコの触手になっている事に気が付いて驚愕した。

　今まさに自分が食べていた、たこ焼きのタコの呪いか怨念か……

「……でもまあ、これはこれで可愛いかも？　
　ネイルアートってあるじゃないですか、あれと似た様なセンスで触手アートってどうでしょう」

　ひとしきり驚いた後に意外な反応を捻りだしたクルジッカだった。
　とりあえずと触手の先端にリボンをつけて可愛らしさをアピールしてみる――

「それはそうと、人に迷惑をかける触手は触手の風上にも置けません！
　触手道にのっとり、ボンキュボーン子さんの暴走を止めます！」

　リボンで触手を可愛く飾り、準備を整えたクルジッカは勇ましく叫んだ。
　そのクルジッカの前に立つのは、片足を触手に変化させた戌貝二一の姿だ。
　見つかったニ一は声高らかに力説する。　

「触手？　ええ、好きですよ。好きですとも！
　こちとら、伊達に触手スライム同人誌書いてませんって！！
　いやぁもちろん普通に触手×受もいいんですけど、受け触手とか受がスライム少年とかもいいんじゃないかなって（中略）
　まさかの！　憧れの触手が！！　この手に！！！
　つまり、私はこの触手を絶対手放したくなんかないってことです！」

　クルジッカに見つかり、持論を展開しつつも逃げようとするニ一。
　しかし一足先に退路を塞いだクルジッカが片手の杖を掲げて叫んだ。

「クルクルマジック！」

　すると、クルジッカのろっこん『魔女の見えざる手』が発動。彼女は包丁を空中操作し、スパスパとニ一の触手を切り落としていく。

「と、ともかく、別に犯罪したい訳じゃないんです。私は私のこの触手を大事に持って帰りたいだけですから！」
　
　例によってニ一も一筋縄ではいかない、ややこしい思考形態の持ち主らしかった……

このページにイラストを設定する