【中間テスト】テスト狂想曲　～先生問題作ってよ？！～｜リアクション

【中間テスト】テスト狂想曲　～先生問題作ってよ？！～

＊五十嵐先生の場合（その２）と伊東先生の場合（その２）：好きなことは好き？

　御巫時子が作ったお昼ご飯の他、購買でパンなどを購入し４人は化学室で昼食をとる。淹れたてのコーヒーに、美味しいお昼ご飯。お腹が満たされればやる気も満タン！　尚輝の顔色はいつに無く良いものに見えた。
（先生、今日もかっこいいです……♪　やる気がでたら、ますますかっこよくなりました）
　うっとりと見蕩れる時子の様子に、奈良橋博美も優しい眼差しを向ける。
「昼食が終わったら、早速作りましょう」
　と五十嵐尚輝が言っていたので、雑務を博美と時子が引き受ける事に。尚輝が問題を作る傍ら、２人は資料を運んだり、コーヒーを淹れたり、出たゴミを片付けをしたり、と多岐にわたって活躍した。
（こっちの方は解決したかな。……だけど、問題は他の先生かぁ）
　博美はふと、他の先生の事が気になった。

　一方、鷹城空はというと……？
「これは誰かのろっこんによるものかもしれない……」
　と、このトラブルの原因を探っていた。しかし、手掛かりはテオが言った『こいつらの中に入った何かのせいで「やる気」が失せちまってる』という言葉だけだった。
「何かがどうやって先生がたの中に入ったんだ？」
　疑問に思いつつ自然と足は職員室へと向かっていた。中へ入ると、やる気をなくした先生がたが数名ぼんやりしたり、好きなことをしていたり、と妙におかしい事になっている。
（このままだとみんなにも感染してしまうんだよな？　ならばどうしたら……）
　と、空が考えていると、何故か恵御納夏朝が真剣な表情で猫の写真集や絵本を先生がたの机などに置いていた。机でぐったりしていた数名の先生がそれを手に取り、ぱらぱら見たりしている。
（なんとなくつばめ先生がやる気取り戻しているような気がする。じゃなくて、原因を調べないと……）
　空は気を取りなおして調査を続けたものの、目ぼしい物はなかった。
　結果から言えば、空は原因となるものを見つける事が出来なかった。しかたなく、彼女もまた尚輝が問題を作るのを手伝う事に。空の場合は、眠らないように見張りながらの手伝いとなって、役に立ったそうな。

　空が様子を伺っているともしらず、夏朝は猫さん本テロを敢行していた。
「猫さんに、癒されろ……！」
　どこか真剣な顔で猫関連図書を配布（？）していく夏朝。実は、図書館で旅行関係の本を数冊借りた後、更に許可を得てもってきた、らしい。
（これでもダメなら、アレを使うしか……！）
　なんか他のも用意している模様だが、一体次は何を配布するつもりなのだろうか？　ちなみに副効果なのか猫の本を読んだ数名の先生がやる気を取り戻しているようだが、彼女はまだ知らない。
　夏朝は伊東大志の机に授業で行った地域の旅行ガイド等の資料も置く。しかもおそらくテスト範囲のものである。
「いいですねぇ。長崎の風景も……。この辺りは実によい漁場で、地域の人々と猫の関係もこの島同様良好です」
　夏朝から受け取った本の中に絶妙に地理と猫がかみ合った物があったらしく、それを開きつつ長崎の名産やら特色を語る大志。月山輝一や三宅葉月、鴇波羽衣も夏朝が配った本を手に取りつつ話を聞きながらも、ちらり、と彼女を見た。
「……趣旨、変わっていないか？」
　思わず呟いた輝一の言葉は、夏朝に届かなかった。あと、先程まで何故か日本が誇る自然遺産である知床の話で盛り上がっていたのだが、夏朝が出した資料のお陰で長崎の話になっていたりする。
（やっぱり、先生の話って楽しいなぁ）
　羽衣は嬉しそうに顔を綻ばせる。彼女は大志から旅行の話を聞くのが大好きだ。元々授業が面白いと感じている羽衣は、時折大志に直接話を聞きに来ていた。
　そんな彼女が今回のトラブルを知り、大志の所へ来たのも肯ける。
「恵御納さん、ありがとう。それにしても、図書館にはまだまだ色々と面白い資料がありますねぇ」
　夏朝に礼を述べ、他の本にも手を伸ばす大志。これは好感触なのでは、と全員が思ったその時、音をたてて戸が開いた。巴である。そんな彼女は大志に声をかけようとして……躊躇った。その目は羽衣を見つめている。
（……羽衣）