装飾譚：通学服「Wonderland」｜リアクション

装飾譚：通学服「Wonderland」

　自分の買い物が終わった由貴奈が店の外で会計中の梢を待っていると、八神修と椿美咲紀がやってきた。
「やあ。やがみん、みさみさちゃん。ふたりもお買いものに来たんだね」
「こんにちは、壬生先輩。こんなところで会うなんて奇遇だな。ひとりか？」
「こずえちゃんと一緒だよー。今、待ってるところ」
　あっち、と由貴奈が指をさす。声に気付いた梢が手を振り、美咲紀がニコニコと手を振り返した。
「休みの日に寝子高の子と会えるの嬉しいな！　しかも、副会長がふたりそろうなんてすごい偶然じゃありません？」
「本当だねぇ。ふっふっふ」
「壬生先輩、お待たせしましたよー。おふたりはこんにちはー」
　梢が由貴奈と合流すると修も軽く挨拶を返し、
「じゃあ、俺たちもそろそろ行くか。壬生先輩、屋敷野、また学校で」
「またねー！」
　梢と由貴奈に背中を見せた。

「次どこ行きましょうか、先輩。どこかで一休みしますー？」
　梢が下りのエスカレーターに乗りながら、下の段にいる由貴奈に声をかける。今だけ長身の由貴奈より少し目線が高い。
「んー、そうだねえ。あのね、忘れる前にこれ渡しちゃうねぇ」
「この包み……さっきの店で買ったやつですか。急にどうしたんですかー」
　梢が受け取った包みからシャラシャラと涼しい音がする。
「こずえちゃんと、お揃いのナニカを買っておきたいなぁって思って。よければ着けてみてー」
　そう言った由貴奈の腕には華奢なデザインのブレスレットが巻かれていた。
「……そういうのちょっと卑怯だと思いますー」
「ふっふっふ」
　梢は包装を丁寧にはがして、ブレスレットを自分の腕に巻いた。
「私、クレープおごりますねー」
「わーい。いただきます」

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