あやかし学校運動会｜リアクション

あやかし学校運動会

「いけいけ、ゴーゴー！」

　チアガールに扮したクルジッカ・ヘルマゴル、いや、正確にはチアガールに扮した『古のもの』クルジッカは、天真爛漫に周囲に
萌えと狂気を振りまいていた――

　ここで解説せねばなるまい。『古のもの』それは古代の地球に住んでいた先住民族とも言われている由緒正しい存在。ちょっと見た目が異形なため、偶然目撃してしまった哀れなフツウの人々を狂気のズンドコに落し入れたりしてしまうが、それは悪気のない事なので勘弁してやって欲しい。
　とにかく、古のものクルジッカは、あやかし学校で運動会を満喫していた。
　こうなったいきさつというのも、とある本屋で購入した怪しい魔道書に記された黒魔術を試したところ、こんな怪物に変身してしまい、生えた翼でひらりと飛んで
九夜山までやって来たのだが、そんなことはこのあやかし学校では些細な出来事、日常茶飯事であったため、ごくごく一部に紛れこんだ哀れなフツウの人々以外にはなんの心配もいらない事であった。

「ああ、それにしても何という素晴らしい充実感、開放感でしょう。触手も沢山生えてて可愛いです。混沌って最高ですね！」
　
　クルジッカはピコピコと先別れした触手をくねらせ、喜びを表現した。
　そしてチアガールとして、競技に勤しむ参加者たちに冒涜的かつおぞましき声援を送り、時々、混じっていた哀れなフツウの人々を発狂させたりさせなかったり、競技の入賞者に腐敗カエル絞りジュースを配って歩くなど、忙しく走り回って運動会を盛り上げていた。

「さあ、腰に手をあててキュッと一気飲みでどうぞ。
　お代わりもありますので、遠慮なく言ってくださいね！」

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