秋風ボートレース！｜リアクション

秋風ボートレース！

　優勝　桜庭　円（にゃーくん号）
　２位　尾鎌　蛇那伊
　３位　龍目　豪（マッハＧＯ）

　失格　御剣　刀…ボート沈没のため
　　　　八神　修…ボート沈没のため
　　　　ドラゴン・レディー…ボート沈没のため

　夕暮れの秋風が、砂浜をわたっていく。
　ボートレースの余韻が冷めやらぬまま、夕暮れが水平線から押し寄せてきていた。

　レース結果を眺める、ののこ。
　優勝は逃した。でも、ドラゴン・レディーとして、満足のいく活躍はできた。
　大満足だ。
「ののちゃんは、何位だったの？」
「んーと、５位だった」璃奈のナチュラルなひっかけに、あっさり乗るののこ。「そういえば、瑠奈ちゃんは参加してなかったね。見てたの？」
　ふふ、どうかな。
　瑠奈は笑って答えない。
　一番近くで見ていた。でも、そのことを教えてあげようか。
　とりあえず、もうすこしだまっておくことにしよう。

　豪は満足していた。思いもよらぬ冒険が出来たし、なかなかできるやつを見つけることもできた。
　まだ無事そうなボートは海洋部に引き取ることができた。大きな収穫だ。
　だがそれよりも……豪は、レースが終わって笑い合っている、修、刀、円のところへ向かう。
　ラストの接戦、あれはすごかった。チャレンジする魂、お互い尊敬しあう心。
　なんとしても、探検部の仲間に欲しい。
　今日の真央の活躍を思い出せば、彼らの心も動くだろう。
　豪は、三人に歩みよる。

「どうだ？　俺達の仲間にならないか？」
「仲間？」顔を見合わせる三人。
「そうだ……俺と真央の仲間だ！」
　そう言って指さす先には、水褌姿のまま来場客に褌を配る真央。
「ふんどし……？」
「ち、違う！」慌てて首を振る豪。「そっちじゃない！」
「せっかくだが、俺は、そういうのは……」
「俺も、残念だが……」
「ボクも、趣味じゃないな……」
「違―う！！」
　豪の絶叫が、浜辺に轟き渡った。

　誤解はその場で解けたが、どこでどう話が違ったのか、しばらく探検部は「褌を締められると聞き、やってきました！　押忍！」という謎の入部希望者に悩まされることになった。

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