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寝子島高校
ズボン脱走!
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●Scene.2
そこは寝子島高校の第一グラウンド。一切の砂塵も巻き上がることもない。ひんやりと、かつ適度な空気は走るのに最適のコンデションと言えよう。
風もないのに宙を舞うスラックスは異常である。勿論“ろっこん”という視点から見たらの話だ。仮に常識の範疇で生きている一般人であれば気にも留めないはずだ。
そんなスラックスに刀は翻弄されていた。追いつけど追いつけど絶妙な動きで手をすり抜けていく。捕まえられる距離まで縮める度にスラックスはひらりと身を翻すのだ。
不意に力強いアカペラが聞こえてきた。ランナーを応援する歌声の主は
白浜 渚
だ。彼女はお弁当を箸で突きつつ屋上から刀がスラックスを追う姿を眺めていたのである。
力強い“共心スル歌声”は刀の底力を押し上げる。僅かながら彼の世界が加速を始める。今足りないのは恐らく共に走る好敵手かもしれない。
早く。速く。もっと前に。前に。一歩。また一歩――。
歌声は刀の背中を強く押した。前を走るスラックスなどただのその他ランナーでしかない。目指すはトラックの向こう側――ゴールラインだ。
刀は強く、更に強く、地面を踏みしめた。
湧き上がる達成感。この瞬間、彼は風との一体感を得る。頭の奥底から湧き上がるアドレナリンが気分を高揚させていた。恐らく今週の単距離走で最速をたたき出したに違いない。
トラックのゴールラインを通り過ぎた刀は最高の気分だった。息を整える。空を見上げる。太陽がまぶしい。
空はなんと青いのだろうか。冷たい風が火照った体に心地よい。差し込む陽の光を手で遮りながら彼は深呼吸をする。
空高く舞い上がるスラックスがひらひらと踊って祝福してくれている。
ふと刀は何のために走っていたのかを思い出した。
「……あー、やってしまった」
スラックスは刀から逃げるように校舎の屋上へと飛んでいった。
刀とスラックスの様子を踊場の窓から眺めていた人影が2人。
「あの動き、間違いねぇ。神魂だな」
怪しい笑みを浮かべる
如月 庚
と、
「あのスラックスに、果たして自我は宿っているのでしょうかねー」
素朴な疑問を抱く
屋敷野 梢
だ。
「さあな、そいつは捕獲してみねぇとな」
思惑はそれぞれあれど、2人の手に握られるスマートフォンにはメールが表示されていた。共通する“疑惑のスラックスを確保せよ”との一文。発信元は2人が所属するコミュニティ“寝子島☆美食クラブ”の主宰者からだ。
「他の人よりも先に捕まえたいですねー」
「んじゃ、邪魔が来る前にさっさと仕事を済ませようぜ」
「はいですのー」
スマートフォンをクローズしたのを合図に2人は屋上へ向かう。不意に
桃原 空音
が横を走り抜けていった。その顔は怪しい笑顔を通り越し、最早不穏の一言で片づけられるものだった。
「なんでしょう、また何か見つけたのでしょうかねー」
「知るか。ほら、いくぞ」
あえて無視して階段を駆け上がる2人。
先に屋上へたどり着いたのは庚だった。
「先を越された……のか?」
屋上でのほほんと水筒のお茶をすする渚の姿に彼は呟いた。
「はい?」
一瞬の沈黙。
渚の不思議そうな表情に庚は「思い過ごしか」と吐き捨てる。気を取り直し彼は訪ねた。
「スラックスが飛んでこなかったか」
しばし思案すると彼女は一方を指さすのだった。
「もしかして、あの事でしょうか」
彼女が指し示す先にスラックスはあった。ひらひらと、屋上の手すりに干されているかのように日光を浴びている。
風は強くない。それにもかかわらずここまで飛んでくるのは異常だ。
「やっと、追いつきましたー」
「アタリだ。間違いねぇ、あれは“神魂”の影響を受けている」
遅れて屋上にたどり着いた梢に庚は言った。
満ち足りた自信と不敵な笑みが顔に溢れ出す。周囲を見渡すと渚以外に他生徒はいない。
「では試してみましょうかー」
ゆっくりとスラックスに近づく2人。それを黙って眺める渚。
スラックスがひらりと反応した。もしやと思い2人は少しさがった。すると再びスラックスは動きを落ち着かせる。どうやら近づくと反応して飛んでいこうとするようだ。
そこで庚と梢はスラックスとの距離をとって行動に移った。捕獲はその後である。
「おい」
庚が声をかけるもスラックスは風に揺れるだけだ。
「それじゃ、怖がっちゃいますよー」
「知るかよ」
それからも身振り手振りで意思疎通を図る2人。その間ずっとスラックスはただ風に揺られて日光を浴び続けていた。庚がしびれを切らして前に進もうと一歩踏み込んだ――
不意にスラックスが天高く舞い上がった。突風にあおられたわけではない。ましてや誰かが強引に掴み掛ったわけでもない。
「あ、あの……すみませーん!」
隣にいた梢が頭を下げる。突然の事に庚は何が何だかサッパリだ。
「お前に謝られる覚えなんかねぇんだが」
「でも、私が、“胡蝶の詩”を試そうとしたからー」
しょんぼりした顔の梢に庚はぶっきらぼうな態度だ。
「んなもんただの偶然だろ」
「えーでもー」
確かに彼女は“胡蝶の詩”を試していた。突然スラックスが逃亡したのも事実だ。しかしこの場において2つの因果関係を結びつける要素は不十分。そもそもスラックス自体に意志は見受けられない。むしろ虫やそれに近い原始的な反応と言えよう。
――近づいたら逃げる。
ただそれだけなのかもしれない。
2人の視線の先でスラックスは校舎の外へと飛んでいった。やや遅れて2人は後を追いかけていく。
そして2人をやや離れた場所から追いかける女子生徒の姿もあった。
所変わって職員室。
いろいろな方面からこってり絞られたのだろう。若干元気のない義弘が自席に座っていた。下はジャージのズボンを着用している。
彼の周囲には咲、璃音、修の3人の他に新たな顔がある。咲を追ってやってきた
鈴野 海斗
と、“神魂”騒ぎを聞きつけた
旅鴉 月詠
だ。
「だっさ!」
突然職員室に入ってきた空音の第一声がそれだった。ジャケットとスーツの不釣合いな組み合わせを気にしていたのか、義弘の顔が引きつっている。
「一皮むけたと聞いて楽しみにしていたのにー! すっごく期待外れ、というかもいっかい脱ぐのだ!」
「ぐぬぬぬ……」
落ち度がある手前強く言えないのが義弘の表情から伺える。それを良い事に空音がゲスい笑顔を浮かべていた。
「そ・こ・ま・でっ」
咲が義弘と彼女の間に割って入った。
「風紀を乱そうというのなら、この咲が容赦しないぞ」
「きゃーこわいのだー!」
鋭い眼光が空音に突き刺さる。だが彼女は視線を受け流す。それどころか咲の横をすり抜けて積極的に義弘のズボンを掴んだではないか。
軽やかなその身のこなしに咲は苦笑を禁じえなかった。
「それよりー、まだ脱がないのかなぁ?」
「脱がん」
軽く手で振り払って義弘は空音をきっぱりと切り捨てる。
「い・ち・ご・お・ぱ・ん・つ」
耳元を撫でまわすかのような吐息で空音が囁いた。しかし下心丸出しであるが故に生暖かくも背徳的な吐息にしか感じない。
「いうな!」
顔を赤らめて義弘が語気を強めた。思った以上の反応に空音が喜ぶ。
「脱いでホモ展開きぼーなのだー」
さああと一押し。そう思った矢先。
「ダメです! 先生は、ホモなんかじゃありません!」
「なにするだー! のぉおおおおお」
智瑜が空音を背後から掴み掛ったのである。あわや大爆発という寸前でのファインプレーに義弘を含め一同から親指が立てられる。空音を捕まえるのに必死な智瑜にそれを見る余裕はなかった。
「空音さんがいるとややこしくなっちゃいます!」
「それでいいのだー!」
「よくありませーん!」
こうして空音は廊下まで押し出されていくのであった。
ため息しか出てこない。そんな状況の中で義弘は周囲の教員に軽く頭を下げていた。
「はぁ。まったく……風のイタズラもここまで来ると、作為的なものすら感じてくる」
ぐったりしたようすで義弘は再び椅子に座る。
本日、今までで一番深いため息を吐いたに違いない。
「いつも破けていたから、嫌気がさして逃げ出したのでは?」
修は義弘に問いかける。暗に“スラックスが意図して逃げ出した”という意味を含ませながら。
「ハハハ、何を馬鹿なことを」
唐突な問いかけに義弘は乾いた笑いを漏らす。。
「そんな事があってたまるか」
「例えばいつもお尻が破けるズボンを不憫に思って、妖怪ズボン脱がしが意思を与えたとか」
「なんでも妖怪のせいにするのが、最近の流行なのか。それにスラックスはただの道具だぞ」
「道具だって大切に使われたいという意志があってもおかしくない。昔から付喪神とかあるし」
修と義弘のやり取りに月詠も加わる。
「次は陰陽師か、それとも幽霊か? 私は割り切れないものは好きじゃないんだ」
緊張していた空気がようやく和み始める。それ自体は良い。けれども修や月詠としてはもっと別の意図があったのは言うまでもない。
ただわかったことが1つだけある。
――義弘は妖怪や幽霊の類を信じていない。
「待ってください、先生だってわざと破いているわけじゃありませんよ」
義弘がまるで無精者みたいな言われ方に智瑜がほほを膨らませた。
「破れても破れても、先生は何度もなおしてたんですから。私だって時々手伝ってます」
不意に義弘の表情が引き締まる。その見慣れた顔は校則を指導する立場の顔であり、また数学教師としての顔でもあった。
職員室に刀が入ってきた。一同の姿を見るや否や早足で寄ってくる。
「刀か……どうだった」
「良いニュースと、悪いニュースの2つある」
むっつりとした刀の様子に義弘は嫌な予感しかしていない。
「……先に、良い方を頼む」
「スラックスが見つかった」
「で、悪い方は」
「校舎の外に飛んでいった。それを追う生徒もいる」
淡々とした刀の報告に義弘は深いため息とともに頭を抱えた。刀を除いた一同も別の意味で「あちゃー」と頭を抱える。
「元はと言えば私が発端だ。誰のイタズラかは知らないが、私自身が軽率に外へと飛び出したのが悪い。だが今は大丈夫だ。とにかく、外に出た生徒を連れ戻してくる」
義弘は席を立つと早々に職員室を出ようとした。
「先生」
咲は彼を呼び止めた。
直後に義弘がちらりと時計を見たのが印象的だった。止めても全員付いてくるとわかりきっていたのだろう。
「……手伝うなら、昼休みが終わるまでだ」
彼はそれ以上何も言わない。
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2人まで
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学校生活
コメディ
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定員
20人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2014年11月30日
参加申し込みの期限
2014年12月07日 11時00分
アクション投稿の期限
2014年12月07日 11時00分
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