昼休み、何気なく携帯を弄っていた
七緒 璃音は、只ならぬ気配に顔をあげ、それからそいつを二度見した。
「スボン?」
濃紺色のスラックスだ。
それが、窓の外をふわふわと浮いているのだ。
しかも、おしりのところがちょっと破けている。
オッサン好きと豪語してやまない璃音にとって堪らない品……かどうかは定かではないが、情報通な璃音はこのズボンの持ち主について、すぐにピンときた。
「待て、俺のズボン!!!」
「あ。やっぱり」
鋭い眼光とクールな佇まいがウリの数学教諭、
桐島 義弘が、いつになく取り乱して走ってくる。
ああ、案の定!
桐島先生はズボンを穿いていなかった!
上はいつものかっちりとしたスーツ姿なので、上半身と下半身のギャップがすごい。
「ていうか、いちご……」
璃音は無情にも、桐島先生のスボンと揃いの濃紺色の上着の裾付近に携帯を向けシャッターを切る。
桐島先生は激しく璃音を睨みつけたが、今はそれどころではない。スボンだ!
走り去る桐島先生を見送って、璃音はつぶやく。
「桐島先生もあと5歳老けてたらいう事ないんだけどねえ……にしても、これも神魂の影響?」
まあたぶんそうなのだろう。深く考えてはいけない類いの事柄のようだ。
「ははっ、神魂のやつ、無茶しやがって……」
璃音はふわふわと逃げるズボンに向かって、爽やかに敬礼した。
ズボンと憐れな桐島先生の追いかけっこは、まだはじまったばかりだ!
こんにちは。
神魂の影響で、桐島先生のズボンが脱走しました。
というわけで、ズボンを捕まえてあげてください。
でも、捕まえなくてもいいです。
なんとなく関連したアクションであればご自由に。
<神魂ズボンの情報>
濃紺色のスラックス。
逃げ足は体育会系成人男子並み。戦うと意外に強い。(キック技しかない)
ふわふわ飛ぶこともできる。
おしりのところが頻繁に破けるのにうんざりして、桐島先生と決別することにしたらしい。
喋ることはできないと思う。
<登場NPC>
桐島義弘先生(ズボン逃走中)
みなさんのアクション次第で、ズボンはどこまででも逃げます。
それではご参加お待ちしております。
●挨拶
やっは、RAGING ARMSだぞ。
今回はちょっと特殊で、実はガイドの執筆や加筆はしていない。つまり貰い物だ。
その出所がどこなのか、また誰かからなのかは、ナイショだ。
さてはて、この内容からどうつながるのかは行動次第。
このシナリオは骨組みをもとに、君たちと、私がともに組み立てていく形になる。
ケセラセラ、かな。