ズボン脱走！｜リアクション

ズボン脱走！

●Epilogue
　放課後。職員室にて。
「オーダーメイドに変えたらどうです」
「オーダーメイドは効率が悪い。そもそも布質は市販とさほど変わらないんだ」
　修の言葉に義弘は答えた。
　結局は費用対効果の問題なのだと。
「そうじゃなくて、お尻が破けるのはサイズが合ってないのでは、ということであって」
　旅鴉がサイズと言う単語を付け加える。
「教師にとってスーツは作業着に近いんだ。特に痛みやすいスラックスをオーダーメイドで準備すると、……懐が寂しくなる」
　誰もが抱える悲しい定め。
　彼のお尻が定期的に破れるのは当分続く事だろう。しかし今はそれ以上の問題がある。
　刀は手に持っていた号外の学校新聞を見ている。記事の内容はこうだ。
　“数学教師、新たな目覚めか！？”
　記事の写真には誰が撮影したのかわからない“義弘のパンツが見えた写真”が使われている。写真の提供元も匿名のインターネットからとしか書かれていない。
「当分は続くだろうな」
　頭を抱える義弘を見て刀はつぶやいた。
「先生！」
　不意にけたたましく職員室に現れたのは空音だ。手には号外が握られている。そのゲスい笑顔からはトラブルの匂いがプンプンしてやがるぜ。

「骨折り損でしたねー」
「神魂の正体はいまだつかめず、肝心の依代もただのズボンに戻ったわけだ」
　教室の片隅で庚と梢は今日の感想をまとめていた。だが梢に至ってはそれよりも学校新聞の号外が気になるようである。
「この写真、七緒のあれじゃね」
　２人は写真に見覚えがあった。
　璃音が提供してくれた“神魂”情報に添付されていた写真だ。
「……黙っておきましょうかー」
「……だな」
　流出経路はわからない。しかし義弘の耳に入ればどうなるかは目に見えている。ここは黙っておこう。そう心に決めるのであった。

　なお、咲によって連行されていったメアリがどうなったのかは、また別のお話である

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あとがき

担当マスター： RAGING ARMS
ファンレターはマスターページから！

　みんな、ズボンは大切に！
　大切にしないと、きみのズボンが逆襲にくるかもしれないぞ！

　さて今回シナリオをいただいて執筆しましたけど、
　私もズボンという題材だけでここまでシナリオを執筆したのは初めてです。
　悪の秘密結社だったり、改造人間だったり、果てには悪魔だったりと、いろいろとやったことがありましたが。

　こうやって一つの題材でシナリオを仕上げていると、
　やっぱり……こう、限界というものが若干見えてくるんですよ。
　引き出しというのでしょうかね。
　言葉もそうです。
　何より題材を一つに絞ることで制限プレーの状態になるわけです。
　今回執筆して痛感したのが、やはりズボンに対する理解力の無さでした。
　もっとズボンが何たるかを知っていれば、もっとズボンの真理を掴んでさえいれば、
　きっと今以上にＣＨＡＯＳが生じていたはずです。
　ゆくゆくはズボンの隙間から旧き支配者を呼び出すまでに――

　閑話休題。

　今回は楽しんでもらえましたか？
　機会がありましたら、次もまた楽しんでください。
　では。感謝を込めて。

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