コズミック焼きそばパンをこの手に！｜リアクション

コズミック焼きそばパンをこの手に！

　注文動作を装填していたのは３人。

　朝陽は、前回の刀を見ていた。
　刀は店員の名前を呼ぶことで、注目を集めていた。
　戦略としてももちろんだが、スポーツマンとして、彼は刀を素直に尊敬した。
（よく考えりゃ、お世話になってる人の名前を覚えるのは、スポーツマンとして、人として当然のことだしな！）

　そう言いつつ、朝陽は必死でチェックした名前を思い出す。
（えーと、えーと、たしかすごい長い漢字の……）

「えーと、ロリロリ・アポロさん！」

　たぶん、違うぞ！

「それから最近パートで入った、羽天使斗輝美　可愛衣（わたしとても・かわいい（自称））さん！」

　発想は素晴らしかった、朝陽。
　だが、間違え方も酷かった。
　美波瑠璃　星影夢（びばるり　ぽえむ（自称））さんは、自分が間違えられていることにも気づかなかった。
　そして、なぜこっちが読めるのか。
　完璧に読まれた羽天使斗輝美　可愛衣さんは、しかし生ごみ処理のために席を外していた！
　九仞の功を一簣に虧くとは、まさにこのこと！

　刀はゆっくりと息を吸い、そして……。

「アンダ・ベルダ・セシリア・ダイアナ・エミリー・ファーニー・ガードネット・ヒステリア……（スウェーデン出身）」
　ちょっと名前が長い店員の名を呼びつつ、懐から注文と代金の入ったぽち袋を渡す。
　記憶を再生しつつ、お金を取り出す。しかもろっこんの酩酊の中で。
　おそろしい身体能力。その無駄遣いである。

　その横から、ズビシ！　とお金を差し出すのは真央。
　その唇から、放たれるのはこの言葉。

「おばちゃん！　コズミック焼きそばパンと今日のおすすめパンを全部一個ずつ下さいなのだ！」

　真面目！
　しかし真面目が肝心！
　店員の目が、真央に集中する。
　勝利を確信して、真央が笑う。

　だが、突き出された真央の手を見て、しかしレジの店員は首を振った。
　指で示される一枚の掲示。そこにはこうあった。

「抜き打ちテストに勝利した者に、コズミック焼きそばパンの入手権アリ！」

「なにーっ！！」
　絶叫が響き渡った。