遠足！　小学生、横浜へ｜リアクション

遠足！　小学生、横浜へ

◎午後、みなとみらい技術館

「ここでも色んなものが見られるというからいっぱい見てみたいっす」
　午後の部、一心と葉月は猫菱みなとみらい技術館にきていた。

「……なんだか思ってた以上に色々ありすぎるっす！　なんという多さっすか！」
　H2ロケットの模型、かわいいロボット、飛行機で使用するエンジンのタービン、風力発電のプロペラ……
　すでに1階入り口から一心の目はいろんなものにくぎ付けだ。
「それもなんだか『さいせんたんぎじゅつ』とやらばかりで見慣れないものばかりっす！」
「未月の気持ちも分かる気がするな。確かにロマンだぜ」
　葉月も同意した。
　見るだけではなく、見学者が実際に触れて楽しめるものもある。
「なんという、なんということっすか！　俺の住んでる国はこんなすごいものを作れちゃうんっすか！　それにしても、なんだかすごすぎて触ったりするのが怖いくらいっす！」
「いや、男なら触るべきだろ」
　手をわきわきさせる葉月。
「せっかくなので皆と色々な事にチャレンジっす！　……あっ、でもなるべく男子と一緒にやるっす。女子は……女子はぁぁ！」
「女子を怖がるお前の気持ちはさっぱりわからないぜ。でも無論、せっかくの班員との交流なんだ。いかに傷心だろうと面白い事には積極的に参加するぜ！」
　他の班員と共に月面資源採掘船を設計する二人。
「やっぱドリルかな、男のロマンだし」
「ええっと……採掘船だからミサイルとかはないっすね。それじゃ、この方向スラスターにするっす。間合いを取るのには向きの変更は必須っす」
　男子たちは、男のロマンを形にする作業に燃えるのだった。

「うおお、でかいっす！」
『ロケットエンジンファクトリー』では　H2ロケットに使用している巨大なエンジンノズルが展示されていた。
「こりゃ圧倒されるな」
　ボタンを押すとゴオオオ！！　と臨場感あふれる燃焼音が流れだした。
「すごいっす！」
「本物みたいだな、これは男として魂が燃えるぜ！」

　楽しい遠足にも、終わりの時間が来た。
「今日は楽しかったぜ、ありがとうな。これは友愛のキスだぜ」
　不意に額に葉月の唇が押しつけられ、一心は慌てた。
「えっ？！　は？　ゆ、ゆうあいっすか」
「女子じゃないからいいだろ？」
　葉月にとっては海外の挨拶的なもので日常茶飯事だ。
「は、はあ、そうっすね……うん」
　何でもないように他の班員にも友愛のキスをする葉月。
　ちょっとフクザツな気持ちになる純日本人の一心だった。

　その頃妹の未月も。
「えっと……今日は楽しかったの……ありがとう」
　班の女の子たちの額に友愛のキスをしていた。
「くすぐったい」
　玲音がきゃっきゃと笑った。

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