焼きそばパンＤＸをこの手に！｜リアクション

焼きそばパンＤＸをこの手に！

　階上で人知を超えたバトルが繰り広げられているころ、渡り廊下では修が目覚めていた。
　絶命している場合ではない。
　新聞部として、真相を確かめなければならない。
　
　階段の入り口は、購買部を目指す生徒たちでギュウギュウになっていた。
「一体何だ、この騒ぎ……」修は手近な生徒に声をかける。
「焼きそばパン、焼きそばパンだ！」修を見ようともせず、絶叫する生徒たち。

　焼きそばパン？
　それなら、自分も持っている……。

「焼きそばパンって、これのことか……？」
　ポケットをごそごそと漁り、修は持参した焼きそばパンを取り出す。
　それを目にした瞬間、生徒たちの目の色が変わった！

「うおお、焼きそばパン！！」
「焼きそばパンだ！！」
「よこせぇぇ！！」

　正気を失った生徒たちが、ゾンビの様に修に殺到する！

「おい、一体何が……」
　どか。
「一体……ぼふっ！」
　ぶし。
「何が……べべっ！」
　がき。
「なんで……ぴっ！」

　このありさまを詳述するのは忍びない。　
　屈強な男たちに踏みにじられる修。

　焼きそばゾンビと化した生徒たちは、修をさんざ嬲ったあと、階上へ突撃していった。

　廊下に、死のような静寂が訪れた。
　ズタボロになった修、左手に握りしめられたのは焼きそばパン。
　新聞部の習性か。右の指は血をインクにして、

　や　き　そ　ば　ぱ　ん

　という文字を描いている。