焼きそばパンＤＸをこの手に！｜リアクション

焼きそばパンＤＸをこの手に！

　ベトナム空手、ボビナムの心得には、以下のような条項がある。
『他の競技に敬意を忘れず、常に自衛と＜正義＞を守る為だけに、己の技を振るうべし！』
　長らく帝国主義の圧政にあったベトナム。か弱き女性たちは「美しくある強さ」を手にした。
　可憐さと、しなやかさ。彼女の誇り。それがボビナム。

　衝突する縦の回転と、横の回転。
　回転こそ世界の原理。すべては回転する。
　地球は回り、天球は回り、人の遺伝子は螺旋を描く。

　だが、運命は「流転する」のではない。

　彼女たちが、自分たちが――。

　――運命を、『回』す！

「ハァァァンンン！！！」

　一瞬の間隙をついて、朝陽がダッシュ。
　魂を奪われたように、二人を見入っていた生徒があわてて追う。

　環とシダも、それを追おうとして、一瞬目を見かわす。
　互いに傷はない。本気の打ち合いなどしていない。
　ただ、自分たちが「似た者同士」であることを確かめたかっただけ。
　無言のうちに再開を期し、二人は走りだす。

　そんな二人を見つめる中に、博美もいた。
　彼女もまた、武を追い求める者。二人に混ざりたい気持ちもあった。
　だが、こんなせまいところで格闘をするわけにいかない。
　争奪戦が終わったら、声をかけてみるか……。
　だが、その前に、掃除は手伝ってもらわないと。