■22:00 Old Town
「これだけあれば、少しは持つかな……」
配達用の車に、備蓄用の食糧と水を積みながら西野町 圭吾は一人呟いた。自分一人に対しては十分過ぎる量だが、圭吾は一人でこれらを消費するつもりなどなかった。
避難場所らしい寝子島高校へ向かう前に、島を回って逃げ送れた人を救助しようと考えていた。商店街の備品である拡声器を助手席に置き、圭吾は車に乗り込んだ。
鍵を回し、エンジンをかけると大通りを中心に車を走らせる。見る限りゾンビだらけで、生存者の姿は見えない。
いないならばいないで構わない。とにかく、島を一周してみよう。自分が避難するのはその後でも手遅れではないはずだ。
ゾンビに追いつかれることのないよう、圭吾はアクセルを踏み込む。加速した車体は、車に取り付こうとしていたゾンビを引き剥がした。