寝子島少年探偵にゃん！｜リアクション

寝子島少年探偵にゃん！

「まてまてまてまてー！」
　勝治郎は走った。
　ものすっごく走った。
　けれどドラ猫は太ってるくせに早いの何の！
　子供用の靴までくわえているというのに、勝治郎との距離はどんどん開いてゆく。
（よーし、こうなったら近道だっ。先回りしてやるんだぜっ）
　勝治郎はひょいっと柵を潜り抜け、道なりに沿って走るドラ猫との距離を縮めようと試みる。
（うわっ、やっべ！　靴も服も泥だらけじゃん。またかーちゃんに怒られるうううぅっ！）
　草むらを思いっきり走ったせいで、一張羅の学ランに派手に泥はねが着いていた。
　あわてて手で泥を叩き落とすが、所々洗わないと落ちないであろうシミが付いてしまった。
　そして気が付くと、辿り着いたのはなぜか町役場。
（あのドラ猫、何でこんなところに？　つーか、普通小学生はこんなところに来ないんだぜ）
　ちらほらと、大人が泥まみれの勝治郎を見ている。
（まずいな、この格好じゃ目立ちすぎる）
　勝治郎は町役場のお手洗いに飛び込むと、学生帽をとる。
　そしておもむろにふぅっと息を吹きかけた。
　その次の瞬間、勝治郎は高校生に大変身！
　ろっこんの力で、学ランすらも高校生タイプに変わっていた。
　もちろん、泥汚れなんて消えている。
　勝治郎は、お手洗いから出るとふぅーーーーーっと大きく息を吸い込んだ。
　そして、叫んだ。
「たのもーっ！　ここにクツ持った猫が来なかったかー？」　